第4章1節闇の中の真実<1話>

真っ白なマントをかぶった五個の影が円を描きながら立っていてその中には綱で縛られた一人の男がひざまずいたまま恐れに捕われて震えていた。 彼はもがきながら、そこから抜け出そうとしたが周囲にある影たちが手で彼の肩を押していて無駄なことだった。 彼の正面に立っている者は男の頭に左手をのせて右手にはワンドを握ったまま空を示しながら何かを叫んでいた。そしてその声は近所の木の後に隠れて、すべての状況を見守っているトリアンにもはっきり聞こえた。

“私たちの神マレアよ。この罪人が犯した罪の代価を払って私たちが彼の容赦を求めますので、あなたの手助けで私たちを救って下さい!”

生まれて初めて聞いてみる祈祷文が終わり、苦痛でうねった悲鳴が森に響きわたった。 綱で縛られていた男は地面に倒れ、その周囲に円を描きながら立っていた真っ白なマントの者たちには返り血が飛んで真っ赤な花模様が乱れ描かれた。 腰を下ろし、男が死んだのを確認した後、皆マントの頭の部分を脱いだ。彼らの顔を見たトリアンは息をできなかった。彼らは明らかにトリアンと同じエルフだった。本当にそのうわさが事実だったということなのか。
巷に飛び交う狂信徒たちに対する噂を聞いた時、トリアンは信じなかった。うわさというのはいつも膨らむものだということが彼女の考えだった。その上いくら世の中が紛らわしくても他の種族でもないエルフが同じ住民たちを虐殺する蛮行を犯すはずがないと信じていたので、女王・マヨルが彼女を含む3人の魔術師にうわさに対して調査しろとの命令を下した時、トリアンは格別なことはないだろうと考えた。トリアンと3人の魔術師は区域を分け、女神の泉とその付近の村は彼女が担当することになった。モンスターが増えることにより村々は要塞化したり、退去して廃墟と化したりと、住民たちが不安に思う姿は簡単に見られたが、うわさの狂信徒は眼に入らなかった。少し前までもトリアンは軽く旅行する気分だった。だが狂気じみたエルフらが神への救援を理由に、このようなエルフを殺す光景を目撃した瞬間、彼女はこれが思ったより深刻なことを実感した。

“もう一つの罪が浄化された。この世のすべての罪が浄化されれば以前のように女神もまた私たちの前に姿を表わされるだろう。その時私たちは救援されることになるであろう。”

祈祷文を唱えた男が独り言でつぶやくように話すやそばに立っていたエルフ達は全面的に同意するというように首を縦に振った。しばらく本来の席に立って祈りを捧げた五人の狂信徒らはまたマントを使って顔を隠して足取りを移した。トリアンはいちはやくワンドを握りしめて呪文を唱えた。緑色光を浮かべた風がトリアンのワンドから流れ出て、狂信徒達を取り囲んだ。狂信徒達は慌てて逃げようとしたが、周囲にある木幹が自分たちの足首を捉えていることが分かった。

“何奴!”

トリアンは万一に備えて、魔法で狂信徒達が腰につけていたワンドを全て地に落とした後、彼らに近付いて物静かな声で話した。

“私の名前はトリアン・ファベルです。女王陛下の命令であなた方の罪を問うためにきました。”

“陛下が?私たちが道を誤り何か罪を犯したということなのか? 私たちは女神・マレアのために罪で染まった大陸を浄化しているだけなのに!”

浅い緑色の瞳の狂信徒が叫んだ。トリアンは彼がちょっと前に死んだエルフの頭に手をのせておかしな祈祷文を唱えたまさにその人だと分かった。

“あなた方は兄弟にも等しい、あなたの種族を殺しました。 女神・マレアが本当にそれを望んでいると思いますか?”

いくら切なく呼んでももう女神は答えないのに、あなた方の祈祷が何の意味合いがあるだろうか。トリアンは心の中で尋ねた。しかしそれに対する返事はすでに自ら知っていた。

“彼は盗みを働いた罪人だった。自身が犯した罪に対する代価を払うのは当然ではないか?”

盗みを働いた代価が死ということでしょうか? トリアンはあきれた。トリアンのそのような反応に関係なしに、親分と見える狂信徒は自身の信頼に対して熱弁を吐いた。

“今この土地に充満している悪い気勢と混乱とで、私たちが苦痛を味わう理由をあなたは知っているのか?それは私たちの罪が浄化されずに、大陸を汚染させたためだ。 神々は私たちが大陸を汚染させたことに怒られてモンスターらと病で私たちを罰されるのだ。 無知な者よ、これが真実だ!”

“女王陛下や大神官様の中のどなたもそのような話をされたことがないのにあなた方は何の根拠で神が私たちを罰しようとするというのですか?”

“ラウケ神団について知っているか? 彼らはヒューマン族の予言者のヘルラックの著書を基盤に形成された宗教集団だが、経典に書かれた予言を大陸のすべての種族に伝えるために飛び交っているだろう。 そして私たちは先月彼らに会って、この世の真実を聞いたのだ。私たちは世の中を救援するために真実が教えた通り行うというだけ。 それ以上もその以下でもない。”

ヒューマン族の予言者ヘルラック? 世の中がこのようになるとすでに知っていた人もいるのか? もしかしたら大神官様と女王陛下は何の効果もない仕事をしておられたのでないか? 果たして神の真実を隠すことだけが最善の方策なのか? トリアンは自身の心の中で終わりなくわき上がる混乱にめまいがした。握っていたワンドが手先から落ちようとするのを悟ってトリアンは自身を叱責しながら、心を引き締めた。

“エルフ歴史上最高の予言者と賞賛を受けているリマ・トルシル大神官様がそのような予言をなさったことがありません。それだけでなく歴史上どのエルフの神官も同じことです。ところで聞いてみたこともないヒューマン族予言者の話に夢中になるなんて…はエルフとして恥かしいことです。”

トリアンは叱る声で話した。しばらく何の話もなく浅い緑色瞳はトリアンを眺めるとささやくような音声で話した。

“涙の洞窟…予言者テルピンを忘れたのか?”
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by hiiragi_rohan | 2008-01-30 18:00 | R.O.H.A.N小説


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