第4章1節闇の中の真実<4話>

“予言者デルピン…もちろん知っています。その方こそ勇気ある予言者でした。当時誰も敢えて口外できなかった世界の終末に対して、直接王におっしゃった方だからです。レゲンからヴェーナに遷都することを主張して、そのため他の神官たちから排斥され、徐々に歴史から忘れさられましたが…その方に比べれば私は臆病者なだけです。”

リマ・ドルシルの絡められていた目蓋がゆっくり開いた。トリアン・ファベルは彼女の目から涙が落ちるのを見た.

“私は幼い時に主神が消滅して、この世界にその方の全てが散らばるのを目撃しました。そしてその瞬間今のこの世界を見たんです。それは…言葉で説明しにくい恐怖でした。その時私の予知能力が開眼して、そのおかげで今このように大神官になったのですが… 今も私が夢で見ることはその時とあまり変わらないのです。”

神様は完全に私たちを捨てたでしょうか? トリアン・ファベルは脳裏に浮かぶ問いを、とても彼女にできなかった。しかし彼女はリマ・ドルシルがどんな返事をするか分かっていた。彼女は大神官として‘そうではありません。’と答えるはずで、予言者としては‘そうです。’と答えるだろう。しかしリマ・ドルシルとして彼女はどんな返事をするか?

“予知能力を開眼して以降、私は私の予言が違うのを祈って来ました。これからは祈りを聞き入れる方もいませんが…それでも私は絶えず祈ります。かえって私の予言が全て違うようにしてくれと・・・”

“大神官様…”

トリアンはのどが詰まってものを言えなかった。リマ・ドルシルの行き違った希望はされだけでも大きい悲しみだったが、その中に内在した意味は絶対的な絶望を意味した。予言者なら自分の予言が未来をありのまま描き出すように願うのが当たり前だろう。それなら自分の予言が違うように願うことは予告された不幸が不可避な時だけだろう。それで彼女の希望はもっと胸が痛むように感じられた。

“方法があるはずです. 未来を変える方法がどこかにあるでしょう。”

トリアンはリマ・ドルシルを慰めようと気を使いながら言った。彼女の頬にはある新しい涙が流れていた。

“でたらめでも良いから… 私が見たのと違う未来を見たと… 誰か言ってくれたらと思います。私の見たことが違ったと暴言しても、私はその人の見た未来を猜疑心なしに信じるでしょう。皆が彼を責めたとしても、私の予言とは異なる、その人の予言を信じたいです。”

その瞬間トリアンの頭の中をかすめるものがあった。ないかも知れないが、しかし僅かな希望であっても私達は掴まねばならないと。ツリーの中は控え目に口を割った。

“もしデルピン様なら何かご存じではなかったんでしょうか? レゲンを捨ててヴェーナに遷都しようと言った方だから…これからの仕事に対するなにかしらの対策を言及したことがないでしょうか?”

“分かりません。故人になった予言者たちの予言記録は王宮の古文書館に保管されていますし、それは女王陛下の許諾があればこそ閲覧することができるようになっていて…”

“デルピンの予言でしょうか?”

トリアンとリマ・ドルシルは声が聞こえた所を向けて振り返えている途中驚きながらひざまずいて礼儀の姿勢を取った。

“女王陛下!”

女王マヨルは二名の侍女を伴ってトリアンとリマの前に立っていた。透明な程白い皮膚にきれいな青緑色瞳とオパールで飾った銀の櫛で固定した淡い緑色の髪のきめが、目の前で美しい魂を見せてくれているようだった。空色に近い青い絹に、真珠色の実に纎細な柄が数置かれた家紋をかけて深い海色のトパーズがめりこんだワンドを握った彼女はトリアンの中とリマに近付いて親しげな声で言った.

“二人とも頭を上げてください。”

トリアンとリマ・ドルシルはゆっくり起きたがどうしても女王マヨルの顔を眺めることができなかった。彼女と目があえば自分の心の中にあるものなどが皆読まれてしまうだけだろうと思ったからだ。

“失礼だとは思いますが二人の話に我知らず耳を傾けていました。デルピンの予言が知りたいんですか?”

“はい、そうです。 デルピンの予言なら私たちに役に立つに値する助言を持っているかも知れないという考えにいたりました。”

トリアンの中は控え目に説明した。長年の歳月の間タブーと同様に取り扱いされて来た主題に対し話をするということは易しくない事だった.。女王マヨルはしばらくトリアンを眺めてから口を開いた。

“当時デルピンの予言は皆に認められることができなかったんです。実はその予言は呪いに近かったから… その間幾多の予言者たちが予言をしましたが、デルピンの予言くらい凄まじい内容を記していることはなかったです。それでも読んでみますか?”

“はい、陛下。”

“あなたが捜したことが存在しないこともあります。単純に闇の中に閉じこめられた未来を、そしてあるだけな予言によってあなたの希望は果てしない恐怖に変わるかも知れません。そうなるとあなたは生に対する意欲を失って、大きい絶望感のみを抱いたまま一生を暮さなければならないかも知れません。”

“私の決心は搖れないでしょう。”

トリアンの返事に女王マヨルはしばらく考え込んだ後、周囲にいる侍女たちを下がるよう指示した後、深呼吸をして目を閉じた。彼女の身が輝き始め、足下に複雑な文様の巨大な魔法陣が描かれ始めた。まるで巨大な透明人間が地面に丹念に字を書いて行くようにシルバーの文字が一つ一つ光を出しながら描かれた。魔法陣が完成されるとマヨルの周囲に一つ二つ輝く語句が浮び上がった。初めに薄暗い模様で流れた句たちは魔法陣の光が強まるほど特定の姿に変わって行った。それは厚い巻物たちだった。女王は目を開いてその中の1つの巻物を手で示した。リマとトリアンの目の前で、女王示した巻物が徐徐に開かれ始めた。

“予言の記録たちは王宮の古文書館ではなく、ヴィラ・マレアの国王たちの体の中で保管されて来ました。手で触ることができる物体ではなく、霊体として存在することは可能な事です。世の中で一番安全に保管する方法だと言えます。”

リマ・ドルシルは震える声で言った.

“しかし陛下… その方法は…”

“ええ、霊体を含んでいる肉体にはかなり負担になる方法です。霊体を入れる瞬間から死ぬ時まで絶えず自身の魔力を霊体に奪われるからです。そうすれば魔力がすっかりなくなることも起こり得るでしょう。”

トリアンやっとリマ・ドルシルの声が震えた理由を理解することができた。魔力と言うのは魔法を使うことができるようにしてくれる力であると同時に、魂の一部でもあった。魔力の底が見えるということは魔法をこれ以上使用することができないという意味より永遠の眠りという意味がもっと大きかった。

“死ぬのではないが生きているとも言えない、永遠の眠りに落ちることもあるから、こんな方法は確かに命をかけなければならないほどに危ないことです。しかしこんなにまでしながら予言の記録を徹底的に保管しなければならない理由は、たまには予言を通じて未来をあらかじめ分かるようになることで、一人の運命だけではなくすべてのものの運命が変わることもできるからです。”
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by hiiragi_rohan | 2008-05-16 16:31 | R.O.H.A.N小説


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