カテゴリ:R.O.H.A.N小説( 28 )

第4章1節闇の中の真実<5話>

朝にドラット国境地帯を去ったナトゥは夕方になってハーフリング西部国境地帯に到着することができた。 フロイオンが追手を避けて通りそうな所を歩き回ったがフロイオンの影どころか追手に似た、いかなる存在も発見できなかった。バタンの情報に疑問を持ったが、フロイオンを捜せということは国王の命令だったし、彼を見つけることができなかったとしても、イグニスに行ってダークエルフの国王にジャイアントがダークエルフ使節団の唯一の生存者であるフロイオンを捜すために努力したということを証明しなければならなかった。いつの間にか日が沈みかけていた。ナトゥはこの近くに留まってもう少し捜してみなければならないと考えた。巨大な背もたれ、地面に座るとうっそうとした木の葉の間から流れこんで来た月明りが彼の古い皮の長靴のすそを照らした。森の中で何もなく、このように座ったまま寝るのはナトゥにとってそれほど難しい事ではなかった。
大部分のジャイアントの戦士たちは自分の身位広い皮を地面に敷きそこに横になって眠った。しかしいつどこでモンスターが押しかけるかも知れない辺境ではそれさえ享受する余裕はなかった。ナトゥは辺境へ来て以来、常に鎧を着て腰の当たりに、刀物がささり切れ目が入ったベルトをぶら下げたまま壁に背もたれて座って睡眠を取った。部隊長になった後も彼の睡眠方式は変わらなかった。ラークはそんな兄を心配して宿所のベッドで熟眠を取ることを勧めたし、彼の進言に従い、宿所のベッドに横になったこともあったが、不快でぎこちないだけだった。
結局ナトゥはベッド自体にもたれて座って眠ったし、朝にその姿を見たラークはあきれたという表情で笑うだけだった。石墓碑に寄り添って倒れていた頭のないラークの死骸。悲嘆の野原で死んだ弟の姿が浮び上がるとナトゥは目を開いた。目から涙は出なかったが心深い所で熔岩のように熱いのがあふれ、心の割れた隙間から漏れるのが感じられた。その熱気が全身に広がったのか喉が渇いた。近くにある湖畔に行くために席をはたいて起きようとするとナトゥの目にかすかに輝く物が捕えられた。ナトゥはゆっくりその物がある場所に歩いて行った。小さく丸い物が月明りを受けてきらめいていた。腰を曲げて拾って手の平に乗せた。土ぼこりを被っていたがそれは確かに銀で作った指輪だった。三つの紫水晶のはまった指輪は内側に文字が刻まれていた。ナトゥは汚くなった指輪を水に浸してきれいに洗い出して月明りに照らして見た。指輪中に刻まれた文字はジャイアントの言語ではなかった。もしかしたらと思ってナトゥは指輪をあっちこっち回して見て紫水晶がはまった反対側にある文様を見て悟った。それはフロックスを象徴する花火文様だった。ぱーっと咲いた花の花びらのように開かれている花火たちはダークエルフを創造した下位神・フロックスと王室を繁栄を意味した。

“ここを過ぎ去ったな…”

ナトゥは独り言をつぶやいて周囲を見回したが他の形跡は見られなかった。 指輪を拾った所に戻り、ひざまずいて地面を目を通した。数多くの足跡がからまっているのが見えた。その足跡を通じてナトゥは4名のハーフリングが車を引くロバとともにここを過ぎ去ったということが分かった。足跡で相手のことを知るのは戦士訓練所で一番初めて習う内容だった。ナトゥが会った戦士訓練所の担当教官は武器をよく使うのも重要だが、それ以前に相手方に対してどの程度知っているかにより勝敗が左右されるといつも強調した。‘車に何か重い物が積んであった。ところが…この足跡はハーフリングではない。他の種族の足跡が二つもある。歩幅で見ると二つとも男だ。だがフロイオンの足跡は違う。ダークエルフ使節団はシルクで作られた履物を履いていた。そのような履き物ではこういう模様が出ることはないだろう。この足跡は身体が軽くてとても早く動く奴だ。エルフ? 違う。エルフの足跡より少し重く見える…これはハーフエルフの足跡だな。 そうだ、以前聞いたことがある。ハーフリングがハーフエルフを傭兵として雇っているという話…他の奴もハーフエルフか?しかし履き物が全く違う。ハーフエルフは薄い鹿革の履物を履くがこれはそれよりさらに丈夫で粗悪な靴底を持っている。あたかも薄い金属のような。その上この歩き方は疲れているが節制されて力が入っている。’

分からない正体の足跡を指で探ってナトゥは考えに浸った。湖畔で上がってくる水煙が風になびいて森に広がっていった。月の光を受けた水煙は青い色を浮かべながら、地表を静かに覆った。自身の足の上をかすめる青い光の水煙を見てナトゥの頭に浮び上がることがあった。節制されて力がある歩き方と丈夫でやぼったい履き物…

“聖騎士か。”

ナトゥは自身の口から出た単語を耳で聞いて強い拒否感を感じた。 ロハン大陸で最も広い土地を占めた種族のヒューマン。そのためなのかは分からないがドラゴンが消えた後、ヒューマンの王国というデル・ラゴスでジャイアントのドラットで派遣された使節団は傲慢な顔をしていた。その時ナトゥは10才だったし、幼い弟らを連れて久しぶりに家に戻る父を迎えに行っていた。王宮の前の広場には数多くのジャイアント達が集まり何かを待っていたし、戸惑っていたナトゥの目の前に現れたのは生まれて初めて見る種族と彼らを護衛している父であった。ナトゥの周囲で彼らを見物したジャイアント達はその異様な種族を‘ヒューマン’と呼んだ。ナトゥは自身と全く違う容貌を持った見慣れない種族を我を忘れて眺め、青い色と銀色で作られた鎧を着たヒューマンと目が合った。極短い間のことだったが過剰な自信と優越感に満たされた彼の目つきはナトゥを不快にした。その日夕方家に帰ってきた父は額に血管をたててしかめた顔で自身が護衛してきたヒューマン使節団に対して話した。

“本当に生意気なやつらだ。自分たちがロハン大陸の主人でもなるかのように行動している。それでも私たちは礼を尽くす意味で国境からエトンまで護衛した

が、むしろ国王陛下に私たちが自分たちを犯罪者扱いしたとぶつぶつ言うんだ! 国王陛下はジャイアントがヒューマンよりはるかに大きいからそのような誤解をしたようだと笑いながらおっしゃったよ。本当に無礼な種族らだ! ところがそんな出来事ははやまだ序の口にすぎなかった。彼らはドラゴンが消えた後ロハン大陸を歩き回って他の種族らにたくさん会ったが、ジャイアントがその中でも最後というものよ。あたかも自分たちが私たちのためにここまできたように話すのに本当にあきれたよ。ところで本当にこらえることができなかったのは私たちが願うならば何の条件もなしに私たちにヒューマンの文明を伝授するということなのだ! その場にいた皆がヒューマン使節団が私たちをどれくらい無視しているのか知ることが出来ただろう。私を含め、そこにいたすべてのジャイアント達の表情があっという間に固まってしまった。はなはだしきはいつも表情の管理が上手な近衛隊長ノイデ様も顔がゆがまれたよ。

そんなヒューマン使節団の傲慢放縦した言動はすべてのジャイアントたちに知られたし彼らに強い拒否感を持つようになった。ジャイアントは自分たちの文明に大きい自負心を持っていた。険難な北の地で 8人のジャイアントを始まりに開拓して来たジャイアントの文明を侮辱するということは彼らの先祖が流した汗と努力をあざ笑って精神世界を踏み付けることと同じだった。故にジャイアントたちがヒューマン使節団の提案に怒ることは当たり前なのだ。ヒューマンたちがジャイアントたちの拒否感と怒りを感じたのかそれとも自分たちの進化された文明に未開なジャイアントの文明は役に立たないと自慢したことかはわからないがその後でドラットを訪問するヒューマンは誰もいなかった。後にナトゥは自分と目があったヒューマンが聖騎士であるということを知ることになった。
足跡の主人が聖騎士ということを分かるとナトゥは不快になった。ヒューマンの聖騎士とハーフエルフの傭兵、四人のハーフリング、重い物が積まれている車をひくロバ、そしてフロイオンの指輪。ナトゥの頭の中で車に載せられて行くフロイオンの姿が描かれた。ダークエルフ使節団を襲った者がヒューマンの言語で話し合ったという、死んだ従者の言葉が事実ならヒューマンの聖騎士の足跡がハーフリング達とともにある理由を推察できそうだった。ダークエルフとジャイアントの間に位置したハーフリング達はダークエルフとジャイアントが同盟を結ぶことに対して大きい脅威と感じられるのが当前だろう。しかしハーフリングやハーフリングに雇用されたハーフエルフが使節団を襲って自分たちが露呈する場合、状況はもっと悪くなるかも知れない。それで彼らは一番近い友国であるヒューマンたちに助けを要請したのではないか?

ナトゥは席から起きてあちこちにつけられている足跡を睨んだ。自分の推測が違うこともできた。しかしその外にはこの足跡たちが説明されなかった。これからフロイオンを捜す事は単純にダークエルフとジャイアントばかりの事ではなかった。ハーフリングとハーフエルフ、そしてヒューマンまでかかわった事になってしまった。ナトゥは自分の推測が正しいと言っても自分がハーフリング達を尋ねてフロイオンを出しなさいと言うことは、ジャイアントがダークエルフとハーフリングの関係に口出しをするということになってしまう。ひょっとすれば五種族たちがお互いに縛られて戦争をするようになるかも知れない。ここまで考えが及ぶとナトゥはまずイグニスに行ってダークエルフの国王にダークエルフ使節団が襲撃されたことはジャイアントと関係がないということを明らかにしてこの事にハーフリングとヒューマンが関与している可能性に対して話を伝えるのが優先だと判断した。フロイオンが生きているのか死んでいるのか、現時点では分かることができなかったがナトぅは彼が生きていると信じたし、自分がイグニスに行ってダークエルフたちとともにこちらに帰って来て彼を救出するのが一番早い方法だと確信した。しかし永遠の時間が去ってもナトゥはこちらに帰って来ることができなかった。
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by hiiragi_rohan | 2008-07-03 19:32 | R.O.H.A.N小説

第4章1節闇の中の真実<4話>

“予言者デルピン…もちろん知っています。その方こそ勇気ある予言者でした。当時誰も敢えて口外できなかった世界の終末に対して、直接王におっしゃった方だからです。レゲンからヴェーナに遷都することを主張して、そのため他の神官たちから排斥され、徐々に歴史から忘れさられましたが…その方に比べれば私は臆病者なだけです。”

リマ・ドルシルの絡められていた目蓋がゆっくり開いた。トリアン・ファベルは彼女の目から涙が落ちるのを見た.

“私は幼い時に主神が消滅して、この世界にその方の全てが散らばるのを目撃しました。そしてその瞬間今のこの世界を見たんです。それは…言葉で説明しにくい恐怖でした。その時私の予知能力が開眼して、そのおかげで今このように大神官になったのですが… 今も私が夢で見ることはその時とあまり変わらないのです。”

神様は完全に私たちを捨てたでしょうか? トリアン・ファベルは脳裏に浮かぶ問いを、とても彼女にできなかった。しかし彼女はリマ・ドルシルがどんな返事をするか分かっていた。彼女は大神官として‘そうではありません。’と答えるはずで、予言者としては‘そうです。’と答えるだろう。しかしリマ・ドルシルとして彼女はどんな返事をするか?

“予知能力を開眼して以降、私は私の予言が違うのを祈って来ました。これからは祈りを聞き入れる方もいませんが…それでも私は絶えず祈ります。かえって私の予言が全て違うようにしてくれと・・・”

“大神官様…”

トリアンはのどが詰まってものを言えなかった。リマ・ドルシルの行き違った希望はされだけでも大きい悲しみだったが、その中に内在した意味は絶対的な絶望を意味した。予言者なら自分の予言が未来をありのまま描き出すように願うのが当たり前だろう。それなら自分の予言が違うように願うことは予告された不幸が不可避な時だけだろう。それで彼女の希望はもっと胸が痛むように感じられた。

“方法があるはずです. 未来を変える方法がどこかにあるでしょう。”

トリアンはリマ・ドルシルを慰めようと気を使いながら言った。彼女の頬にはある新しい涙が流れていた。

“でたらめでも良いから… 私が見たのと違う未来を見たと… 誰か言ってくれたらと思います。私の見たことが違ったと暴言しても、私はその人の見た未来を猜疑心なしに信じるでしょう。皆が彼を責めたとしても、私の予言とは異なる、その人の予言を信じたいです。”

その瞬間トリアンの頭の中をかすめるものがあった。ないかも知れないが、しかし僅かな希望であっても私達は掴まねばならないと。ツリーの中は控え目に口を割った。

“もしデルピン様なら何かご存じではなかったんでしょうか? レゲンを捨ててヴェーナに遷都しようと言った方だから…これからの仕事に対するなにかしらの対策を言及したことがないでしょうか?”

“分かりません。故人になった予言者たちの予言記録は王宮の古文書館に保管されていますし、それは女王陛下の許諾があればこそ閲覧することができるようになっていて…”

“デルピンの予言でしょうか?”

トリアンとリマ・ドルシルは声が聞こえた所を向けて振り返えている途中驚きながらひざまずいて礼儀の姿勢を取った。

“女王陛下!”

女王マヨルは二名の侍女を伴ってトリアンとリマの前に立っていた。透明な程白い皮膚にきれいな青緑色瞳とオパールで飾った銀の櫛で固定した淡い緑色の髪のきめが、目の前で美しい魂を見せてくれているようだった。空色に近い青い絹に、真珠色の実に纎細な柄が数置かれた家紋をかけて深い海色のトパーズがめりこんだワンドを握った彼女はトリアンの中とリマに近付いて親しげな声で言った.

“二人とも頭を上げてください。”

トリアンとリマ・ドルシルはゆっくり起きたがどうしても女王マヨルの顔を眺めることができなかった。彼女と目があえば自分の心の中にあるものなどが皆読まれてしまうだけだろうと思ったからだ。

“失礼だとは思いますが二人の話に我知らず耳を傾けていました。デルピンの予言が知りたいんですか?”

“はい、そうです。 デルピンの予言なら私たちに役に立つに値する助言を持っているかも知れないという考えにいたりました。”

トリアンの中は控え目に説明した。長年の歳月の間タブーと同様に取り扱いされて来た主題に対し話をするということは易しくない事だった.。女王マヨルはしばらくトリアンを眺めてから口を開いた。

“当時デルピンの予言は皆に認められることができなかったんです。実はその予言は呪いに近かったから… その間幾多の予言者たちが予言をしましたが、デルピンの予言くらい凄まじい内容を記していることはなかったです。それでも読んでみますか?”

“はい、陛下。”

“あなたが捜したことが存在しないこともあります。単純に闇の中に閉じこめられた未来を、そしてあるだけな予言によってあなたの希望は果てしない恐怖に変わるかも知れません。そうなるとあなたは生に対する意欲を失って、大きい絶望感のみを抱いたまま一生を暮さなければならないかも知れません。”

“私の決心は搖れないでしょう。”

トリアンの返事に女王マヨルはしばらく考え込んだ後、周囲にいる侍女たちを下がるよう指示した後、深呼吸をして目を閉じた。彼女の身が輝き始め、足下に複雑な文様の巨大な魔法陣が描かれ始めた。まるで巨大な透明人間が地面に丹念に字を書いて行くようにシルバーの文字が一つ一つ光を出しながら描かれた。魔法陣が完成されるとマヨルの周囲に一つ二つ輝く語句が浮び上がった。初めに薄暗い模様で流れた句たちは魔法陣の光が強まるほど特定の姿に変わって行った。それは厚い巻物たちだった。女王は目を開いてその中の1つの巻物を手で示した。リマとトリアンの目の前で、女王示した巻物が徐徐に開かれ始めた。

“予言の記録たちは王宮の古文書館ではなく、ヴィラ・マレアの国王たちの体の中で保管されて来ました。手で触ることができる物体ではなく、霊体として存在することは可能な事です。世の中で一番安全に保管する方法だと言えます。”

リマ・ドルシルは震える声で言った.

“しかし陛下… その方法は…”

“ええ、霊体を含んでいる肉体にはかなり負担になる方法です。霊体を入れる瞬間から死ぬ時まで絶えず自身の魔力を霊体に奪われるからです。そうすれば魔力がすっかりなくなることも起こり得るでしょう。”

トリアンやっとリマ・ドルシルの声が震えた理由を理解することができた。魔力と言うのは魔法を使うことができるようにしてくれる力であると同時に、魂の一部でもあった。魔力の底が見えるということは魔法をこれ以上使用することができないという意味より永遠の眠りという意味がもっと大きかった。

“死ぬのではないが生きているとも言えない、永遠の眠りに落ちることもあるから、こんな方法は確かに命をかけなければならないほどに危ないことです。しかしこんなにまでしながら予言の記録を徹底的に保管しなければならない理由は、たまには予言を通じて未来をあらかじめ分かるようになることで、一人の運命だけではなくすべてのものの運命が変わることもできるからです。”
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by hiiragi_rohan | 2008-05-16 16:31 | R.O.H.A.N小説

第4章1節闇の中の真実<3話>

‘聖騎士エドウィン?’ライは自身の耳を疑った。 エドウィン? エドウィン・バルストン?

あの女は魔女だ! 直ちに処刑しなさい!
私はただ真実を言っているだけです。あの子供たちは…君の父がうちの母を殺した…怒った人々の声、燃え上がる炎、空に広がっていく煙、闇の中で現れた暖かい助けの手…

“ライ!危ない!”

デートの声が耳に飛び込むと共に剣に反射した陽光が目に入ってきた。本能的に体を後に飛ばした。

“ライ、大丈夫か?”

デートの声がもう一度耳元にささりながら、ライは自身が敵と対立中の状況にあったことを思い出した。 そして自身の前にある聖騎士が遠い昔、自身の運命を変えてしまった男爵の息子というものも。するとその間忘れて胸深く埋めておいた怒りが全身をぐるぐる巻いた。ライはカタールを握りしめて聖騎士に駆け寄った。ライの盲目的な攻撃に他の同僚らは割り込めなかった。連続的に聞こえる鋭い金属のぶつかる音だけが林の中にこだまするだけだった。エドウィンはライの生気に充ちた攻撃に対抗して、盾と剣で防御したが容易ではなかった。幼く見えるばかりである女の体でどのようにこのような攻撃が出てくるのか驚くばかりであった。セルリノンはハーフリングの近所にいた同僚に向かってハーフリングとダークエルフを攻撃しろと、音のないメッセージを送った。 セルリノンの唇を読んだ同僚はカタールを握りしめて周囲を回ってハーフリングたちに向かって、素早く接近した。カタールを高く振りかぶり、ハーフリングをとろうとする瞬間、風を分ける声が耳元をかすめて行った。

ウウク!”

カタールを持っていた者ののどに矢が打ち込まれているのを見て、激烈にぶつかる全ての動きが止まった。 人々の目が、矢が飛んできた方向に向かった。そこには金色と茶色の混じった髪の毛を長くぶら下げて、生意気な目つきを持ったハーフエルフが矢を放った大きな弓を持って、ライの一行らをねらっていた。

“おい、もうそろそろ止めないかい? 私の区域でこれ以上騒動を起こせば立場上困ってしまう。”

“何奴だ?”

セルリノンの表情は毒牙をしたひそめた毒蛇みたいだった。彼女の声が長く響かないうちに次の言葉が飛んだ。
“私はピル傭兵団のカエールだ。たびたび使節と呼ばれるようになるだろう。 何、それはそうと…今している仕事を止めて、各自家へ帰ってくれたら良いのだが。”

“聖騎士を助けにきたものか?”

“まさか! ヒューマンなどには一抹の同情心も持っちゃいないよ。 私が気にするのはあの小さいハーフリング。今はハーフリング達に雇用されている状態なのでね。”

ライはそっと自身の腰の周りにかかっている手裏剣を取り上げた。しかしいつの間にか彼女の腕に矢が打ち込まれた。ライは短い悲鳴をあげながら手裏剣を落とした。

“むだなことは止めろ。君たちの刃が私に届く前に、私の矢が君たちの心臓にささるから。もうこれ以上の警告はしないぞ。面倒なことはせずに消えてくれ。”

カエールの話にセルリノンはカタールを持ち出して威嚇的な声で対応した。

“私たちは任務を終え次第、ここを出発予定だ。ハーフリングの犬は来た道を戻っていけば良い。”

セルリノンの言葉が終わる前にもう一度風を分ける声を出た。 矢はセルリノンの後にいたデートの首を貫いた。

“もう理解できるか?”

もう残ったのは自身を含み3人だけであり、その上ライは負傷して戦うのが難しいということを把握したセルリノンは奥歯を食いしばった。しばらくフロイオンをにらんですばやい手つきで同僚らの死体に袋を投げた。 袋は死体につく瞬間荒々しい炎を起こした。 よどみなく燃え上がった炎から暗殺者達がいた場所に視線を戻した時にはすでに皆消えた後であった。

“ふん、目がびっくりしている間に逃げたよ。”

カエールは矢を背中にかかった矢筒に再び入れながら当てこすった。エドウィンは暗殺者達が消えたのをもう一度確認した後、鞘に剣を入れながらカエールに感謝の挨拶をした。

“ありがとうございます。助けてくださって…”

“さっきも話したがあなたを助けようとしていたのとは違う。 あのハーフリングのためにしたまでだ。とにかくハーフリングに雇用されている傭兵であるから。ともかくすでに相当数を殺していったよ。しまった…面倒なことになってしまった。”

あちこち地に倒れている幼い子供たちの死体を一つずつ確認しながらカエールが話した。

“生き残った者は…いないですか?”

エドウィンは質問をしながらもすでに自ら返事を知っていると考えた。彼らはただ一撃で命を絶っておく方法を知っていた。生き残った者が1人でもいるならばそれは奇跡に近かった。

“いないな。彼らはただ殺すために刃物を振り回した。 威嚇などは1つもなかったよ。”

地に顔を当ててうつ伏せになっていた死体をひっくり返して、傷を確認しながらカエールが答えた。

“エミール…?”

エドウィンとカエールは息が絶えるような絶叫音に背を向けた。タスカーが凍りついた表情でカエールが見ている死体を眺めていた。

“エミール! エミール! 私の息子が…! いやあああ!”
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by hiiragi_rohan | 2008-02-26 16:42 | R.O.H.A.N小説

第4章1節闇の中の真実<2話>

“いくらそのような話を聞いても、私はデル・ラゴスの聖騎士です。私は私の魂にかけてすべてのヒューマンを守る者・ロハに対する忠誠を誓いました。エルフ・トリアン・ファベル、デカン・キッシュ。あなた方の助けには深く感謝申し上げます。だが私はまだあなた方の話を信じることはできないのです。全てのものの父・オンが消えたとか、私たちの神々が私たちを亡き者にするとかという話は聞かないことにします。”

彼には信じるのが難しい真実であろう。彼にとっては、信心という自身の人生を導いていった最も大きい羅針盤だった縁だから… いつか自身が神に背信をしたことを知ったら、彼はどのように変わるだろうか? 神に救援を求めるだろうか? でなければ神に挑戦しようとするだろうか? どんな結果が出るのか分からないがそれがいつになろうが私が彼とともにしているという感じがする。珍しいな。ただ一度の出会いであったのに…

“キッシュ!”

キッシュを呼ぶ声に向かって背を向けた。

“何を考えて何度も呼んだのに聞こえないの?”“ごめん、ドゥリアン、特別なことではない。”

ドゥリアンはキッシュのそばに座りながら話した。

“フーン…私が当ててみようか? 数ヶ月前に行ってきた旅行に対して考えることじゃないの?”

キッシュ豪快な笑いを作った。

“君に何かを隠すのが不可能なことをしばらく忘れてたよ。”“私たちは二年を一緒に送った、ただ友人とは違うじゃない。 兄弟に等しいのにその程度は簡単に知ることが出来るだろう。 その上その旅行以後であなたが考えに没頭している姿がしばしば見うけられてそういう風に察したのよ。 どんなことなの?”

ドゥリアンの心配な表情をしばらく見たキッシュは背を向けて、丘の下のデカン族が軍事訓練をするのを眺めた。両者にしばらく沈黙が流れ、その沈黙を破ったことはキッシュが暗に投げた質問だった。

“真に神が願うのは何だろうか?”

ドゥリアンは意外という表情を浮かべながら、キッシュを眺めた。

“ロハン大陸のすべての生命体が自分たちに恐怖を感じることを願うのか? でなければ皆なくして新しい世の中を始めようとするのか?”

短いため息をつきながらドゥリアンが話した。

“そうね…彼らが何を考えているかは知る術がなくて。 だがいかなる理由としても私は…いや私たちは彼らを許してはいけない。貴方も感じない? 私たちの血の中に流れているアルメネスの悲しみと怒りを。”“そうだ、感じている。何の理由でも私はやはり神々を許せない。 そして彼らを皆亡き者にしたい。だがどのようにしなければならないだろう? どのようにすれば神は存在しない世の中を作ることができるんだろう? ドゥリアン、あなたは分からないでしょう。 神に敵対するということがどういうものか。私は見てきた。神に操縦されて、自身の同僚を殺す姿を…自身の意志などは何の意味もなかった。神の操り人形になって、刃物を振り回して同僚の血をかぶるだけだ。それでも何の感情も感じられないだろう。怒りや悲しみなどはその者達には存在しなかった。”“キッシュ。 私たちはあの下位神たちが作り出した種族らと違い、私たちは主神が作り出した生命体だ。たとえ神々と戦争をしたドラゴン達に比較すれば限りなく小さい存在らだが、彼らのように簡単に神に操縦されはしない。私たちがもう少し力を蓄えれば、神のいない世界になった大陸を支配できる。”“いくら私たちが彼らより優れるといっても神々を防ぐためには彼らの助けが必要だという気がする。 そして事実私たちが彼らより飛び切り優れたというのもも疑問になって。ダン族との戦争で私たちが完ぺきに勝ったのか? とんでもない… ”

ドゥリアンの目で火花が散って彼の声が割れた。

“なんてことを!一体何の話をしたいのだ? そのような考えを持ってこれからデカン族に…”“ドゥリアンさん! キッシュさん!”

ドゥリアンとキッシュが後戻りをしてみるや小さい少年が彼らに向かって飛んできていた。

“老いた虎の使いだね。”

キッシュが独り言でつぶやいた。使いはドゥリアンとキッシュの前まで飛んできて吐息をつきながら、大長老が二人を探しているという話をした。

“何かご用だろうか?”“分かりません。単に大長老様が国王殿下も待っておられると急いで迎えろとおっしゃいました。”

キッシュは国王も待っているという言葉に驚いたがドゥリアンは察していたというような表情で使いに答えた。

“先に立つようにしろ。”

使いが先頭に立って歩き始め、キッシュとドゥリアンは彼の後に従ってレブデカへ向かった。丘を降りて行き、少し歩くやドラゴン・ヘアースタイルの彫刻像が視野に入ってきた。常にこの彫刻像を眺めながら、首都の中に入ってくる時ごとにキッシュは母であるアルメネスが自身に何かをささやいているような感じがした。耳を傾ければ彼女の話が聞こえるだろうか? もしかしたらそれは話ではなく、苦痛でぎっしり埋まった絶叫なのかも分からない。

“あなたに失望した。”

キッシュを眺めた。ドゥリアンは前方に顔を向けたままキッシュにだけ聞こえるような声で話していた。

“あなたならば…私が選出されないといっても安心することができると考えた。 むしろ私よりあなたがさらに適格だと考えた。だが今は違う。”“何の話をしている?”

ドゥリアンは口を閉じたまま何も言わなかった。アルメネスに到着し、ドゥリアンとキッシュは使いについて城中に入っていた。 青いゆえドット中世の中が目の前に広げられていたし国王フェルディナンド・ドン・エンドゥリアゴを中で置いて、両側で大長老と長老らが立っていた。キッシュが老いた虎と呼ぶカルバラ大長老が国王の左側に立っていて比較的若いグループに入る青いひげのハエム長老が国王の右の方に立っていた。数十年にわたったダンとの戦争で休戦という終わりを持ってきたハエムを全ての者は彼を示して‘台風の目’と呼んだ。彼は白い顔に細くて長い青いひげをぶら下げて温和な表情で静かに席を守っていただけだが、どういうわけかむやみに無視することはできない気勢が周囲をぐるぐる回っていた。その気勢の源泉は強い力でなく彼の三寸舌であった。普段は言葉が少ないが、彼が話をすれば皆が彼の意見に屈服しなければならない気がするという。 そのような彼の威力が最も発揮されたのはダン族との平和交渉であった。悲鳴の戦場でデカン族の幼い少年アナンが死んだ時、デカン族とダン族は戦争の残忍さを悟って無意味な殺傷を終わらせたかった。だがどのようにすれば終わることができるのか分からなかった。とても永らく持続した戦争なので果たして簡単に平和交渉が成り立つのか予測できなかった。国王と長老らは何日の間昼夜を分けないで悩んだ。三日間、昼夜が去った後のある日の夜、ある若い青年が会議場に入ってきて、自身がタン族の軍長に会えるようにしてくれるならば平和交渉を成功させると話した。まさに青いひげのハエムだった。そこにいた皆が自身の耳を疑った。長老らはハエムに無謀なこととし、反対意見を掲げた。だが彼は一歩も動かず、自身の意見が受け入れられるのを待った。国王はその姿を見て長老らの深刻な反対にもかかわらず、彼の意を受け入れることに決心した。朝日が寝ついていた大地を起こす早朝にデカン族とダン族が眺める中、ハエムはダン族の陣地に単独で歩いて入った。 彼はダン族の兵士たちに囲まれて、軍長レアムモネドゥがいるというテントに移された。 誰も口を開かなかった。ひたすら沈黙の中、二種族の間で時間が流れているだけだった。時間の流れが無感覚になった頃、ハエムが軍長レアムモネドゥと共にテントから出た。 レアムモネドゥがデカン族に向かって、平和交渉を受け入れると大きい声で叫び、そのようにして二つの種族間の平和交渉が成り立った。ハエムがレアムモネドゥをどのように説得したのかに対して分かる人は誰もいない。ただしハエムの話を聞いてレアムモネドゥが涙を流したといううわさはキッシュも聞いて知っていた。 キッシュが成人になって、王室を出入りすることになりながら、何度か彼を見たことがあったがだまされる分からない、偉人とだけ感じていた。

“早く来るように。”

フェルディナンド・ドン・エンドゥリアゴが威厳ある声で2人を迎えた。 ドゥリアンとキッシュ腰下げて挨拶した後片方ひざまずいて低姿勢になった。

“ドゥリアン…そしてキッシュ。君らに対する話は長老らを通じて聞いたよ。皆が同じ言葉で君らが私たちのデカン族中で最も優れた戦士と私に言ったよ。”

“過剰称賛でいらっしゃいます、陛下。”

ドゥリアンとキッシュが頭を下げながら話した。

“私が国王になってすでに50年が経っている。自ら最善を尽くして駆け抜けてきただろう。どの種族にも遅れをとらないように。だが今は私も老いた。いくら鋭い剣でも歳月が流れれば刃が鈍るように、澄んだ水も溜まっていればいつかは腐ってしまうだろう。 もうデカン族には新しい王が必要だと私は感じているよ”

キッシュは驚いて頭を上げた。 ペルディナント・ドン・エンドゥリアゴが王位から退くというのか?
アルメネスからデカン族が誕生した直後、彼らはちりぢりに散って見慣れない環境に適応して行こうと努力するだけだった。その時強いカリスマと優れたリーダーシップを持ったある若者が散っているテカン族たちを集めて今の首都レブデカでアルメネスに対して話した。自身を含んで、デカン族はドラゴンと神々との戦争で最後の生存者でデカン族の母胎のドラゴン、アルメネスを決して忘れてはいけないと。彼女が自身の残った生命力を使って、デカン族を誕生させた理由は、死んでいったドラゴンたちの復讐を果たすためにとし、一日も早く神々に対抗できるように強力にならなければ他のロハン大陸の種族らのように神々によって、終末を迎えることになるだろうと話した。その若者の名前はアガードであった。アガードの指揮の下デカン族は結束し始め、自らを保護する準備をし始めた。アルメネス国家の体制が整えられた時、皆当然アガードが王にならなければと考えた。王になった後自らをフェルディナンド・ドン・エンドリアゴと命名した。彼はデカン族の生きている歴史で英雄だった。
キッシュたちも幼かった時から国王を尊敬して英雄と考えてきた。 そのような彼が自ら王位から退くというのは、誰が聞いても信じるのが難しい話であった。

“私は王の席を出して血筋に譲り渡すつもりなどはない。今後も永遠にデカン族の王は世襲でなく、長老らと王によって選出されるだろう。私は何年か前こういう私の考えを長老らにすでに伝えたし、彼らに真に王になるほどの若い戦士らを推薦してくれと要請しただろう。それで君ら二人は今、私の前に来ている。”

国王は話を終わらせて大長老を眺めた。大長老は国王に向かって頭を下げた後、キッシュとドゥリアンに説明し始めた。

“私たちは国王陛下の要請により君らを含んだすべてのデカン族の若者たちに対して審査をしてきたし最終候補で君たち二人を王位候補者に定めました。これから一月間二人は色々な試験を経て、その結果により次の王に選出されるでしょう。 正々堂々と善意の競争をするよう願います。”

大長老の話が終わってキッシュとドゥリアンは国王に挨拶をして王室を出た。キッシュとドゥリアンを捕まえて何か話をしようとしたがドゥリアンは速い速度に一人で離れてしまった。混乱とと苦々しい気持ちで、キッシュはゆっくり出口に向かって歩いていった。 突然誰か自身のすそを引っ張るのを感じて振り返った。青い皮膚に真っ赤な瞳を持った幼い少女が自身のすそをさっと捉えていた。キッシュ何の話もなく何かご用なのかという表情で幼い少女を眺めた。 少女はさっと笑うと彼にささやいた。

“青いひげのハエム様が西の城門で待つと言われました。”
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by hiiragi_rohan | 2008-01-30 19:05 | R.O.H.A.N小説

第4章1節闇の中の真実<1話>

真っ白なマントをかぶった五個の影が円を描きながら立っていてその中には綱で縛られた一人の男がひざまずいたまま恐れに捕われて震えていた。 彼はもがきながら、そこから抜け出そうとしたが周囲にある影たちが手で彼の肩を押していて無駄なことだった。 彼の正面に立っている者は男の頭に左手をのせて右手にはワンドを握ったまま空を示しながら何かを叫んでいた。そしてその声は近所の木の後に隠れて、すべての状況を見守っているトリアンにもはっきり聞こえた。

“私たちの神マレアよ。この罪人が犯した罪の代価を払って私たちが彼の容赦を求めますので、あなたの手助けで私たちを救って下さい!”

生まれて初めて聞いてみる祈祷文が終わり、苦痛でうねった悲鳴が森に響きわたった。 綱で縛られていた男は地面に倒れ、その周囲に円を描きながら立っていた真っ白なマントの者たちには返り血が飛んで真っ赤な花模様が乱れ描かれた。 腰を下ろし、男が死んだのを確認した後、皆マントの頭の部分を脱いだ。彼らの顔を見たトリアンは息をできなかった。彼らは明らかにトリアンと同じエルフだった。本当にそのうわさが事実だったということなのか。
巷に飛び交う狂信徒たちに対する噂を聞いた時、トリアンは信じなかった。うわさというのはいつも膨らむものだということが彼女の考えだった。その上いくら世の中が紛らわしくても他の種族でもないエルフが同じ住民たちを虐殺する蛮行を犯すはずがないと信じていたので、女王・マヨルが彼女を含む3人の魔術師にうわさに対して調査しろとの命令を下した時、トリアンは格別なことはないだろうと考えた。トリアンと3人の魔術師は区域を分け、女神の泉とその付近の村は彼女が担当することになった。モンスターが増えることにより村々は要塞化したり、退去して廃墟と化したりと、住民たちが不安に思う姿は簡単に見られたが、うわさの狂信徒は眼に入らなかった。少し前までもトリアンは軽く旅行する気分だった。だが狂気じみたエルフらが神への救援を理由に、このようなエルフを殺す光景を目撃した瞬間、彼女はこれが思ったより深刻なことを実感した。

“もう一つの罪が浄化された。この世のすべての罪が浄化されれば以前のように女神もまた私たちの前に姿を表わされるだろう。その時私たちは救援されることになるであろう。”

祈祷文を唱えた男が独り言でつぶやくように話すやそばに立っていたエルフ達は全面的に同意するというように首を縦に振った。しばらく本来の席に立って祈りを捧げた五人の狂信徒らはまたマントを使って顔を隠して足取りを移した。トリアンはいちはやくワンドを握りしめて呪文を唱えた。緑色光を浮かべた風がトリアンのワンドから流れ出て、狂信徒達を取り囲んだ。狂信徒達は慌てて逃げようとしたが、周囲にある木幹が自分たちの足首を捉えていることが分かった。

“何奴!”

トリアンは万一に備えて、魔法で狂信徒達が腰につけていたワンドを全て地に落とした後、彼らに近付いて物静かな声で話した。

“私の名前はトリアン・ファベルです。女王陛下の命令であなた方の罪を問うためにきました。”

“陛下が?私たちが道を誤り何か罪を犯したということなのか? 私たちは女神・マレアのために罪で染まった大陸を浄化しているだけなのに!”

浅い緑色の瞳の狂信徒が叫んだ。トリアンは彼がちょっと前に死んだエルフの頭に手をのせておかしな祈祷文を唱えたまさにその人だと分かった。

“あなた方は兄弟にも等しい、あなたの種族を殺しました。 女神・マレアが本当にそれを望んでいると思いますか?”

いくら切なく呼んでももう女神は答えないのに、あなた方の祈祷が何の意味合いがあるだろうか。トリアンは心の中で尋ねた。しかしそれに対する返事はすでに自ら知っていた。

“彼は盗みを働いた罪人だった。自身が犯した罪に対する代価を払うのは当然ではないか?”

盗みを働いた代価が死ということでしょうか? トリアンはあきれた。トリアンのそのような反応に関係なしに、親分と見える狂信徒は自身の信頼に対して熱弁を吐いた。

“今この土地に充満している悪い気勢と混乱とで、私たちが苦痛を味わう理由をあなたは知っているのか?それは私たちの罪が浄化されずに、大陸を汚染させたためだ。 神々は私たちが大陸を汚染させたことに怒られてモンスターらと病で私たちを罰されるのだ。 無知な者よ、これが真実だ!”

“女王陛下や大神官様の中のどなたもそのような話をされたことがないのにあなた方は何の根拠で神が私たちを罰しようとするというのですか?”

“ラウケ神団について知っているか? 彼らはヒューマン族の予言者のヘルラックの著書を基盤に形成された宗教集団だが、経典に書かれた予言を大陸のすべての種族に伝えるために飛び交っているだろう。 そして私たちは先月彼らに会って、この世の真実を聞いたのだ。私たちは世の中を救援するために真実が教えた通り行うというだけ。 それ以上もその以下でもない。”

ヒューマン族の予言者ヘルラック? 世の中がこのようになるとすでに知っていた人もいるのか? もしかしたら大神官様と女王陛下は何の効果もない仕事をしておられたのでないか? 果たして神の真実を隠すことだけが最善の方策なのか? トリアンは自身の心の中で終わりなくわき上がる混乱にめまいがした。握っていたワンドが手先から落ちようとするのを悟ってトリアンは自身を叱責しながら、心を引き締めた。

“エルフ歴史上最高の予言者と賞賛を受けているリマ・トルシル大神官様がそのような予言をなさったことがありません。それだけでなく歴史上どのエルフの神官も同じことです。ところで聞いてみたこともないヒューマン族予言者の話に夢中になるなんて…はエルフとして恥かしいことです。”

トリアンは叱る声で話した。しばらく何の話もなく浅い緑色瞳はトリアンを眺めるとささやくような音声で話した。

“涙の洞窟…予言者テルピンを忘れたのか?”
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by hiiragi_rohan | 2008-01-30 18:00 | R.O.H.A.N小説

第3章1節因果の輪<6話>

エドウィンは銀で作られた水筒に水を入れながら、湖に映った日差しの輝くのを眺めた。 トリアン牧場の村の旅館に泊まった日から雨が降ったり、雨が降らなくても暗雲が常に空を覆っていたため、日差しが懐かしかった。その上旅館でラウケ神団の話を聞いた後はタスカーの表情が暗く、より一層そうであった。 タスカーはエドウィンに以前のように明るい表情で接しようと努力したが、エドウィンはそんな彼女から不安に思う姿を簡単に感じることができた。

“久しぶりに天気が良いね、そうでしょう?”

エドウィンのそばに座り、湖に手を浸しながらタスカーが話した。

“はい、そうですね。”

エドウィンは水筒のふたをかけて、腰のベルトに固定させながら立ち上がった。

“この頃は天気が悪くてわからなかったけど、明るい空の下で見ると、いよいよ私たちがハーフリングの土地に入ってきたという実感ができますね。何というか…生気に満ちた木々がハーフリングの地だという気がしますので。”“そうですか? ラムベックに行けば本当にハーフリングらしいということをいっぱい感じることになるでしょう。 そここそハーフリングらしい活気があふれる所ですね。 アインホルンとは比較にもならないほどですよ。その地の神官達も…”

普段のように快活に話をしたタスカーが突然止まった。湖に浸し、ひらひらさせていた手も同じように止まってしまった。 エドウィンは頭を下げて言葉なしに水面を眺めているタスカーを眺めた。神官に対する話をしようとしたがラウケ神団に入っているという息子が思い出されたもようだった。ふと自身の母もタスカーのようにこの瞬間自身に対して心配しているかもという考えがよぎった。 聖騎士になってグラト要塞頃に行かなければならないという便りを家族に伝えた時、父は息子が立派な聖騎士になる良い機会と励ましてくれたが、母は何の言葉も発しなかった。 ただ目じりが静かな心配の色を落とすだけ。その翌日から、母は毎朝ごとに神殿に、ヒューマンの神・ロハに祈祷をした。しかし神は母の祈祷を聞くことができなかったということなのか? いや、本当にその時‘それ’は神・ロハだったのか?エドウィンはまた再び心の中で混乱のうずができるのを感じた。誰よりも心深くから神を崇めなければならない聖騎士が神に対して少なくとも疑いを持つことになったこと自体、自ら耐えるのが難しいほどの紛らわしさだった。その時東方で巨大な光が光った。タスカーとエドウィンが同時に光に向かって背を向け、約束していたかのように光に向かって走り始めた。 光の発源地で遠くないところの木の後に隠れて、二人は目の前に広がった状況を見て閉口した。

“まさか…”

そこには幼い子供たちの死体が散在していたし、魔法の気勢でぎっしり埋まった光に押し出されまいと、ありったけの力をふりしぼっている人々が見えた。 彼らは皆黒い服を着て両手には刃が光っていた。エドウィンはちょっと見で、彼らがヒューマン族のように見えたが、何か見慣れないという感じがした。

“ダンという種族だね。”

タスカーがエドウィンにささやくように話した。

“ダン?”

エドウィンの質問にタスカーは驚いた表情になった。

“ダン族をしらないってこと? 彼らはあなたと同じ先祖を持ってるのよ!?”

エドウィンはタスカーがダンだとした人々を順に目を通しながら、タスカーに尋ねた。

“なんのことでしょうか?彼らはヒューマンのように見えるが全く違います。 ダン族? 私は全く聞いてみたことがありません。”“詳しいことは後ほど説明します。 まず私たちはあの光中で絶えず魔法を吐き出している誰かから救わなければならないようですね。”

タスカーは静かに、しかし速い歩みで光で作られた大きな球に向かって走っていった。 エドウィンもタスカーの後に従って、球に近付いた。その時初めてエドウィンとタスカーは遠くからも見えるほど強烈だった光が単純な光ではなく、魔法の気勢というものが分かった。光がぎっしり埋まった魔法の気勢の中にはあるダークエルフが立っていた。

‘こんな途方もない魔法の気勢がただ一人のダークエルフから出てきたことということか!’

魔法を使用しているダークエルフを見たのは初めてだったが、エドウィンは幼い時に、そして最近にも魔法を使っているエルフは見たことがあった。 幼い時に父のお共で行ったスド・アイノルンの王宮でエルフを度々見ることができた。そして最近ではグラト要塞でトリアン・ファベルが自分を助ける時、魔法を使用するのを見た。しかし今この魔法の気勢は何か非正常的であるほど強力だった。あたかも自身のすべての生命力を魔法に変えてしまおうとするのではないかという気がするほどであった。エドウィンはここで命をかけた戦いが繰り広げられているということは分かったが、自身が誰を助けるべきかも分からなかった。周囲を見回すと光のカーテンの向こう側で、最も近くにいたのは二人のダン族だった。光が視野を遮って、はっきりとは分からなかったが、1人は短い髪の男であり、右胸に包帯を巻いていた。また他の1人はそのままたらした、長い黒髪の女であった。彼女は防御姿勢を取ったままゆっくりダークエルフに近付いていた。その時初めてエドウィンは彼女がダークエルフを殺そうとしているのが分かった。エドウィンは剣の柄を握り、少しずつ光中にあるダークエルフに近付いた。しかし光が周囲にある全てのものを拒否するように強力に押し出していたので、近くに行くことはダークエルフを殺そうとするダン族やエドウィン自身にも容易ではないことだった。エドウィンは深呼吸をして、光のカーテンを体で押しながら、その中に入った。光が体にぶつかりながら、弱い抵抗感を感じながらも、目を閉じたままエドウィンはゆっくり歩いていった。体が全て光中に入ったと思った瞬間目を開くやダークエルフの後ろ姿と、手にかかった鋭い刃で彼を刺そうとする長い髪のダン族女性が目に映った。

“止まれ!”

エドウィンは走りながら握っていた剣を抜いた。 ダークエルフの首に突き刺さろうとしている刃が、目的と遂げようとする瞬間エドウィンの剣が防いだ。

“キーン!”

鋭い金属のぶつかる音が聞こえるのと同時に光が消えた。光が消えて皆の目に見えるのはダークエルフの首を間に置いて十字に重なった二つの刃だった。

“これは一体何事なの!?”

タスカーがさまよっているダークエルフの体を捕まえながら、ダン族に向かって叫んだ。

“お前らが関係するところではない。ダークエルフを渡して離れろ。 命は助けるから”

少し離れたところで薄氷のように冷たくて鋭い声が聞こえた。聞く人にとって背筋が寒くなるような声であった。エドウィンは刃をあわせたまま声の主人公を見つめた。 きれいにねじあげた髪が二つの長いカンザシに固定されていたが、乱れた姿で、長い間急即に移動して来たようだった。 だが乱れた姿にもかかわらず傲慢で高慢に見える表情が彼女がここにあるダン族のリーダーということを物語った。 エドウィンはエドウィンは刀を取っていた手に力を集中してぶつかった刃をはね出した。刃を押し返された長い髪の女は一歩後じさった。タスカーはすばやくダークエルフを後に引き出した。

“それはできないだろう。異種族といっても命は誰にでも大切なもの。君たちが思いのままにこの者を殺すのを放っておくことはできない。君たちは誰だ? なぜこの者を殺そうとするのか?”

エドウィンの質問に戻るのは沈黙だけだった。

“これらは専門暗殺者です。自分たちの正体を明らかにするはずがありません。”

タスカーは気を失ったダークエルフを起こそうとしながら、エドウィンにささやくように話した。

“知らなくて良い。どうせ死ぬ命なのに分かってどうするという?”

リーダーは手に持った刃でエドウィンを示しながら、より一層冷たくなった声で答えた。

“もう一度機会を与える。ダークエルフを置いて行くか、でなければ彼とともに死を迎えるか?”“私は聖騎士エドウィン・バルストンだ。 正しくないことを目前に置いて行くのはおくびょう者らでもすることだ。 飛びかかれ!”“全部殺せ!”

リーダーの鋭い声が樹の中に広がった。
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by hiiragi_rohan | 2008-01-30 16:07 | R.O.H.A.N小説

第3章1節因果の輪<5話>

けだるい風が吹いて黄色く熟した土をおとして過ぎ行く暖かい午後であった。 フリー村にはいつものように職人達が仕事を開始し、忙しい人々の動きの中には活気があふれた。 よく手入れされている庭園では取っ手の付いた耳輪式ボードに乗った子供たちが地団駄を踏みながら、矢のように過ぎ去った。 そのせいでホコリが立つ時ごとにキーボードの主人らは大きく大声を張り上げたが子供たちは茶目っ気あふれる顔に舌を出すだけだ。 ハーフリングの大人たちはすぐ仕方ないとため息を吐くが口元には軽い微笑が漂った。 全てのものが和やかさそれ自体であった。 ここは発明品が多い所で有名な村だった。 そのために他種族では見られない不思議な物を買うために遠方からわざわざ訪ねてくる人が多かった。 その中で最初に集まる所は機械商店と工房がある、城壁の終わり側地域であったし、その他には果樹園と農場が主をなして閑散としていた。 中央広場には常に人々で込み合って,午後になれば足の踏み場がなかった。
フロックスがこの村に到着したのは二日前だった。 彼は神の力を隠し、人間の姿をしてここに到着したが、二日間何も食べずに物陰に隠れ、人々の姿を言葉なしに凝視しながら時間を送った。彼の赤い瞳の中にはその過ぎ去った時間に比例して、活気あふれるハーフリングの姿が一つ二つと、刻印のように打ち込まれた。 あたかも死んだ死体に活気を吹き込むように無意味な一連の行動であった。彼がこういうむだな行動を繰り返すのはここがまさにロハが壊せと命令したその村であったからだ。 もちろん彼らを助けるために彼がここにいるのではなかった。人間の生死に関与できないのみならず、フロックスが助けるといっても、他の神々はロハと一緒に、R.O.H.A.N大陸の種族達を絶滅させるのに力を注いでいるならば効果がないことだった。 フロックスは単にロハの行動が気に入らず、ずっとあたっているだけだった。 ここにきても彼は刹那に過ぎない生活を送る彼らがこれ以上生きなければならない価値があるのか疑わしかった。 もしかしたらこのまま彼らが死ぬとしても関係なくはないだろうかという気がするや、フロックスは自身の矛盾した行動に苦笑いが出てきた。 むしろ明らかな意を持って行動するロハの方が正直だった。 いったい自分はここで何をしているということだろうか。 彼は自身が抱いている正義が揺れることを感じた。

“おい,若者!”

その時年を背を向けてある老人が彼に話しかけた。 フロックスは目を刺す痛い日差しにしかめっ面をしながら見上げた。 老人はもじゃもじゃしたひげとぼってりした腹をしたハーフリングだった。 彼の後には多い人波が込み合った。

“ホ,まだ死んでなかったね。”

フロックスは多少分かれる声で尋ねた。

“どういうことだい?”

彼の冷遇にも老人は特別気を遣わない表情だった。

"“君は一昨日からここにいるのを確認しているのに、何かを食べた様子が全くなかったから死んでも変でないだろう。 見たところ裕福な家庭で育った子のようだがなぜこうしている?”
“お前には関係ない。”"

フロックスはこの老人が面倒だといわんばかしに目をとじてしまった。 だが引き続き感じられるちくちくする視線に神経質に目を開いた。 するとハーフリングの老人がニコニコ笑顔で話した。

“さあ、はやく起きなさい。”

フロックスは理解できないという表情になった。

“我が家に働き手が不足していたがうまくいった。 君はご飯を食べて私は働き手を得られる!”

老人のとんでもない話にフロックスはあきれるというもようはっきり断った。

“行くつもりがない。”“それでは行く気になるまでここで待とうかね。”

ハーフリングの老人は突然地面にどっかり座り込むと彼をボーっと眺めた。 フロックスはその露骨な視線に眉間をしかめた。

“私になぜこうするのか?”“それは君の目つきが残念で…そうだね。”

老人の話にフロックスは眉をひそめた。

“は?何が?”“とてもむなしいのではないか?”

とたんにフロックスの顔が固まった。 彼とは違い老人はにっこり笑うと込み合う人波に視線を投げた。 そして人差し指でどちらか一つの商店の壁にかかっている滑車を示しながら、楽しそうに話した。

“私は発明家だ。あそこに見える滑車も私が発明したものだ。 子供たちが乗る耳輪式ボードもな。常日頃家庭で使っている些細な物の中でも私が発明しない物がないほどだ。 だが今はそのどの発明品よりあの空を飛ぶことができる物を作るのに熱中しているだろう。”“空を飛ぶ? それが可能なことと思うのか?”

フロックスはあざ笑ったが老人の顔にはむしろ活気があふれた。

“不可能だからしたいのよ。 発明というのはそうしたことだね。 自分が抱いている夢を現実に作るということだろう。 それが不可能なもので以上は誰でも新しいものを切り開いていきたいのさ。 ところで君の目にはそんな光が見られないよ。”

フロックスは老人の話に何の返事もしなかった。 いや,することはできなかった。 永劫を生きてきた彼がこういうつまらないハーフリングの老人に説教を聞くことになるだろうと誰が分かったか。 フロックスは今の自分が情けなく感じられて、笑いをこらえることができなくて肩を揺らした。 老人は彼のしくしく泣くような笑いを静かに見守るだけだった。 そうするうちに突然笑いを急にやめたフロックスはその赤い瞳に鋭さを抱いたまま尋ねた。

“お前は自分自身に生きる価値があると思うか?”

ハーフリング老人ははっと笑った。

“価値がない人間がどこにいるという話なのか─と話してあげたいが、世の中には価値がない人間も用意されている。 生まれてはならないし生命もあることだしね。 だがその価値がない人間も誰かが生きてくれるように願うならば生きる権利があるではないか? 決定的に誰が誰に生きる価値があるのか云々という権利はないね。 どうせその命は彼自身のためだ。”

フロックスはしばらく間考えると尋ねた。

“私がお前に生きることを願うならばそれも価値ということか?”“もちろんだね。 この役に立たない体でも望むならばの話だよ!”

老人は自身の膝をポンとたたきながら大きく笑った。

“まだよく分からないだろう。”

フロックスは首を横に振った。

“そうしたのは生きていきながら知ることになることだね。 すでに悩む必要はない。”

老人は席でゆっくり起きて伸びをした。

“この頃は気力がついていかないのか、何をしてもうまくいかなくてな。 君と同じようながっしりした青年が助ければ良いが……. どうせ行く時もないだろうにしばらく休んで行くと考えてくれんか?”

フロックスは老人の目を避けて、言葉なしに遠くにいる人々を眺めた。夕日はもう山を越えて、底に赤くて長い影を作っていた。 彼は夕焼けになった薄暗い時間の中で忙しいボディーコントロールをする人々がすぐ消える蜃気楼のように見えて全てのものが無駄になったという気がした。その時フロックスの目に映るものがあった。 彼の視野に小さいシルエットが一つがますます近づくとバイオレットの瞳と茶色いそばかすが鼻筋にまかれた可愛い女の子に変わっていた。

“おじいさん、ここで何をしてるの?”

少女がハーフリング老人に快活に話した。

“ア、リオや。 たくさん遊んできたかい?”“うん! ところで家に帰らないの? 私がビキおばさんに松茸を渡したよ。”

老人はフロックスをチラッと見ていて話した。

“リオや、今晩は3人分を準備しておきなさいよ。”

その話に少女の瞳がフロックスについた。

“うん、分かった! ところで早く帰らないと。 お腹がすいちゃうって!”“そうだな、ではぼちぼち帰るよ。”

少女は老人に手を振ると人波の中に消えてしまった。 フロックスは消えるリオを見送りながら尋ねた。

“あの子供は?”

その問いに老人は自慢するように堂々と話した。

“私の孫娘だ。”“ハーフリングではないけど?”

フロックスが驚いて問い直した。

“そうだ、あの子供はヒューマンの子供だが、私の孫娘だ。 私がそのように決めたから。”“あなたも本当に特異な人物だね。”

フロックスは笑いながら地面をはたいて起きた。しばらく自分の力が戻るまで老人の家で休むのも悪くないという気がした。 ハーフリングの老人は彼の意図を分かったのかニコニコ笑いながら、手を差し出した。

“私の紹介が遅れたよ。 私はディーンというよ。 君の名前は何だい?”

彼は老人の手を握りながら、気迷いなしで自身の実名をいった。

“フロックス。”

老人は驚いてだらりと下がった目を精一杯引き上げて浮かび上がった。

“神の名前を取ったのか? 自信があふれるご両親だったんだね、お前さん!”

フロックスの口びるの端がすっと上がった。

“この世で最も傲慢な家族だったよ。”“ほほ、お前さんと似てるね!”

ハーフリングの老人は力強く笑いながら、彼よりも先立って歩き始めた。フロックスはその後に従ってすぐ聞こえない深いため息を吐いた。 彼がこの村にくる時だけでも自分の正義が正しいのかロハの正義が正しいのか確認するという信念があった。だが今は彼自身さえ彼らが肉価値があるのか分からない状況で誰の正義が正しいと話せないという気がした。 フロックスはまだ自身の中の答えを探すことはできなかった。 みな万ロハの正義が正しくない(の)だけを望むだけだった。
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by hiiragi_rohan | 2007-09-29 20:46 | R.O.H.A.N小説

第3章1節因果の輪<4話>

大地から立ち昇るじめじめした空気がほこりのように虚空に散らばる冷たい夜だった。森には身の毛がよだつほどぞっとした静寂が漂い、空を覆い被せた薄暗い木の枝の間では青白い十五夜月がきらびやかに光を差していた。薄暗く敷かれた黒い霧は森全体に絡んで大気をいっそう重くした。まるで顔のない誰かの細い指が首を締めることのように徐々に息の根を締めて来た。
フロイオンは今自分がどこにいるのか分からなかった。耳に触れる詰ったような空気の重さが方向感覚を奪っていた。それにいくら周りを見回しても見えるのは闇だけなので、彼は自分の身が虚空に浮かんでいるかのように鈍く感じられた。行動一つ一つがのろいだけだった。初めてキャンプで暗殺者たちの攻撃を受けた後一週間ほどが流れたようだった。いや、それよりもっと流れたかも知れないが、彼はどれだけの時間が経ったのか見当をつけることができなかった。目の前でロビーが死んだ衝撃と、キャンプから逃げ落ち、暗殺者たちの追い討ちを受けながら生死を出入りしなければならなかったからだ。フロイオンはいくら追い討ちから脱しようと思っても影のように追い付く暗殺者たちの姿に、時間が経過しても彼らが自分を殺すまでは絶対に帰らないだろうと言うことを悟った。結局逃亡と追い討ちのあげく二度の戦闘が起った。その激戦で彼の得たのは肩の深くえぐられた傷と底が見えた体力だった。彼はこれ以上魔法を使うことができない位疲弊した。フロイオンは王族である自分がこんな状況でいまだに生きているという事実が驚くべきだった。幼い頃も国王である兄と彼の支持者たちに命の危険を受けたりしたが、常に安楽な空間の中にあったため、こんなに死の峠を越して険しい状況にあうようになるとは想像さえしてみなかった。もちろんその時の不安と恐怖、怒りと恨みは今に比べる所ではなかった。それさえも今は自らの命位は守ることができないか。彼は成すことができなかった夢のためにも、ここで簡単に死ぬことはできないと思った。しかし思いと違い、視野はだんだん曇って足はふらふらした。まるで重たい石を肩に載せたように体がふらついた。フロイオンはどこかに倒れて寝たい気持ちはやまやまだったが、いつどこで暗殺者が飛び出すかも知れず、疼いて辛い肩の傷を手で覆ったまま黙々と森を進んだ。彼の額にはふつふつと汗のしずくが太くくすぶって、でんと下に落ちた。その時急に向こう側草むらが搖れた。フロイオンは即座に身をすくめてスタッフを握った手に力を込めた。これ以上魔法を使う力がないが、反射的に動くほど緊張した状態だった。手に取ることでいっぱいになった。彼は草の葉っぱに襟の擦れる音が大きく感じるようになっていくのに相反するように、体温が下がることを感じた。もしかしたら今度で最後かも知れないという考えが彼の頭をかすめた。フロイオンは簡単死んでやれないという思いから、奇襲しやすい草の下に身をうずくまった。そして足跡音がますます近付いて見知らぬ者が草むらをかきわけて出ると彼はスタッフを持って魔法を詠唱しようと思った。しかし彼の視野に入って来たのは黒い瞳に善良な顔のハーフリングだった。彼の顔には荒てた気配がありありと浮かんだように見えた。フロイオンは自分があやまちをしたということを悟って詠唱中の魔法を即座に取りやめた。しかしそれが無理になったのか多量の血をかっと吐き出した。

“ごめんなさい!”

ハーフリングが驚いて彼に走って来た。フロイオンは底に倒れながらも薄暗い視野に入って来るハーフリングの白い制服がまぶしいと思った。あの純白の色がこの闇を明らかにしてくれることができる唯一の光に等しかった。彼は遠くなる意識の中で気を失うまいと抗ったが、自分の意志に反して意識を失ってしまった。耳元では誰かの声がますます遠くなってたちどころに消えて行った。
どれだけ時間が経っただろうか。フロイオンは暗黒の中に一人きり立っていた。彼の前には死骸が山のように積もってたくさんの血がツマ先を濡らした。あの死骸に積もっている人々は自分のために死んだり、死を選択しなければならなかった人々だ。いつかは彼らの前に許しを請う日があるだろう。しかし今ではなかった。

“気がつきました?”

フロイオンは夢と現実の境目でまだ我に返ることができなかいまま、目の前のハーフリングの少年をぼうぜんと雪道の中眺めた。まだ少年の面影を脱することができないそのハーフリングは周りにいる何人の人々と共に憂わしい顔で彼を見下ろしていた。彼らは皆白い制服の身なりにお互いに違う国籍を持った色々な種族だった。フロイオンは割れた唇を舌でなでやり、濁る声で問うた。

“ここはどこですか……?”
“バロウの森の湖の近くです。先ほど倒れたが思い出しましたか?”

フロイオンは軽く首をうなずいた。

“それでも幸いです。血をあまりにも多く流してどうなるか心配したんですよ。”

少年は一息を吐き出した後にこり笑って見た。後にいた群れの人々も彼に何かものを言うようだったが、ざわめきとしてしか聞こえなかった。

“私はエミールと言います。あなた名前は何です?”

フロイオンは自分の身分を隠したまま, 愛称を言った。

“プルロン……。”

エミールは自分のリュックサックをあさりだし、バケツと皮懐を取り出した。

“プルロン、まず水をちょっと飲みましょう。ビスケットとパンしかないが飢は満たすことができます。”

フロイオンは重い体を起こしてエミールが与えた水と食べ物を少しずつのんだ。何日の間まともに食べ物を食べることができなくてパンが容易にはのどを通らなかった。エミールは彼が食べ物を食べる間に自分の仲間を紹介させてくれた。

“こちらからピキ, テミ, チシャ, ネティ……。私たちは皆ラウケ神団の信徒たちです。今は遂行中です。”

彼らは皆エミール位の年に純粋な顔をしていた。

“ラウケ神団?”

フロイオンは食べることをやめて水を一服飲んだ後問うた。もう朝なのか鬱蒼な木の枝の間で日ざしが入った。彼はこれ以上手間を取ってはいけないということが分かりながらも即座に起きることができなかった。もうちょっと休みたいという考えが切実だった.

“ラウケ神団はヘルラックの著書を基盤にエルリシャニムが治める宗教集団です。エルリシャニムはヘルラックの弟子の弟子ではありますが、ロハン大陸の未来に対して予言をしてくださいます。私たちはその方の命で大陸に信義真実を知らせていて。正義のある行いをしているんです!”

フロイオンはエミールの説明を聞いている途中疑問を示した.

“ところで信義・真実だって?”
“あ……。”

エミールは興奮した顔で説明をしてから、彼の問いに顔を固めた。周りに座って食事をした他の子供達の表情も暗くなった。フロイオンは自分があやまちを犯したと考え、すぐ謝った。

“言いたくなければしなくても良いですよ。”

彼の言葉にエミールは荒てた手真似をした。

“いいえ。そうではないです。ただ信義・真実を言う度にそれがますます現実に近くなると思うから気が重くなったことだけです。”

エミールはしばらくもじもじしてから口を割った。

“多分プルロンは私が言うことを信じないかも分からないが… 現在ロハン大陸は滅亡の危機に直面しています。ヘルラックはそれをすごく前から予言していたんです。エルリシャニムも今年そんな夢を見たと言います。私たちはその真実を世の中に知らせて人々が神さまに容赦を求めてほしいです。”
“変だね。世界が滅亡するのは私たちのせいでもないのにどうして神さまに容赦を求めなければならないでしょう?”

フロイオンは本当に理解することができなかった。真実を言っただけだった。彼らに容赦を求める事ではなく救援してくれるように祈らなければならないのではないか。エミールは彼の考えに見当をつけたのか自分が罪を作ったことのように頭をがっくり下げたまま小さく言った。

“それは世界を滅亡させようとすることが神さまだからです。”

エミールの言葉にフロイオンは一瞬顔を固めてからたちどころに信じられないという顔をした。いくらモンスターが大手を振って、大陸が混乱に陷ったと言っても神さまが大陸を滅亡させようと思うということは度が外れた当て推量だった。彼はラウケ神団が世の中が乱れていれば現われる異端児と思われた。しかし落ち込んでいるエミールと仲間たちの真摯な姿にそんなことを言うことはできなかった。

“やっぱり信じることができないのですね。”

エミールは元気なく笑って見せた。

“ごめん。易しく信じられる事ではないですね。”

フロイオンは自分を助けてあげた子供達の気持ちを傷つけたくなかった。

“謝る事ではないです。それよりプルロンはどうしてここにいるんですか? こんなにたくさんけがをしましたが 仲間はいないですか? イグニスに帰る中でしょうか?”

エミールは話題を変えながら苦労しつつ明るい振りをしながらさまざまを聞いて来た。彼はようやく時間がかなり経ったということを悟った。これ以上手間を取ってはいつ暗殺者たちによってつかまるかも知れない事だった。フロイオンはエミールが治療をしてきれいに包帯が絡められられた肩の傷を確認した後動けると感じると席をはたいて起きた。ずっとここにあっては彼らさえ危険に処することができる状況だった。

“エミール、 手伝ってくれてありがとう。しかし私が答えてあげることができることは何もない。私はここでつい私の行く道を行かなければならない。”

フロイオンは自分の横に置かれているスタッフを持って方向を取るために空を見上げた。

“その身でどこに行こういうのですか?”

エミールが驚いて問うた。

“家だと言わなければならないか。”

フロイオンは首都モントの王城を思い浮かんでやや苦く笑った。その所を自分の家だと言えるか彼も確信することができなかった。

“それではこれも持って行ってください。”

エミールがバケツとビスケットが入った皮懐を突き出した。フロイオンは母が死んだ以後にこういった面倒を受けたことがなかったから胸の一部が疼いて辛さを感じた。彼は何かエミールに感謝の言葉を言いたかったがこういう時書く言葉が容易に浮び上がらなかった。ありがたいという一言で終わらせるには不足だった。何かもうちょっと適切な表現をしたかった。しかし口を割った瞬間、 急に背後からだしぬけに襲撃して来るおびただしい気配に彼は言葉をのんで徐々と周りを見回した。普通の人々の目には見えないが森の中をかきわけて早く移動する黒い影の姿が彼の視野につかまった。フロイオンは手先が細く震えると拳を握って落ち着いて言った。エミールはそんな彼の姿にぼやっとする表情だった。

“エミール、走れ……。”
“ええ?”

エミールは彼の言葉を理解することができなかった。あの時も暗殺者たちは周りを取り囲んで包囲を狭めていた。フロイオンはこれらを皆守るには無理というのが分かっているのに焦りから自分も分からなく叫んだ。

“逃げだすんだ!”

しかしその叫びと同時に暗殺者たちが木の上で身を現わした。彼らは皆覆面をして手には初めに見る奇妙な形態の武器を持っていた。彼らの常凡ではない姿に周りにあった子供達がざわめき始めた。エミールの顔にも心細さが一杯だった。フロイオンはうまれて初めて後悔というのをした。モントの王城にいる時も王の一族という位置のため多くの人々の死を見たが今のように後悔をして見た事はなかった。しかしもしこの子供達がここで死んだら一生心に荷物を担うようだった。

“よし、 私が相手だ! 暗殺者達よ。しかし子供達は触れるな!!”

フロイオンは自暴自棄に暗殺者たちに叫んだ。どうせ死ぬ命なら後悔なんかは残したくなかった。しかし彼の希望と違い暗殺者たちは木の上で軽く飛びおりて子供達と彼に走って来た。彼らはここにいる人を皆殺そうと決心したのだ。フロイオンはエミールの腕を取って自分の後に隠した。そしてスタッフを持って魔法を唱えた。まだ無理な気がしたが子供達が逃げだすことができる時間位は儲けることができた。すぐに彼の手に力が集まって服が弱くはためいた。手に魔法が凝集されるにつれ彼の身から光が発した。フロイオンは暗殺者たちが鼻先まで到着した時魔法を発した。すると黒い渦の光が地を掻いて暗殺者たちを襲った。彼らは予想できない大きい力に荒てて防御体制を取った。彼はその時を利用して子供達に叫んだ。

“今だ! 逃げて!”

恐怖にだかれ、地面に座りこんでいた子供達はその音に我に返って暗殺者たちの反対側に走り始めた。エミールもフロイオンが肩を押すとためらうようにしながら一緒に走った。彼は逃げる子供達を見ながらこれで良かったと思った。ここで死ぬと言っても後悔はなかった。ところで急に暗殺者の中の一人が黒い魔法の力を振りはなして光の中心から飛び出して、逃げだす子供達の背中を半月模様を描いて攻撃し始めた。あまりにも瞬く間に起こった事なのでフロイオンは悲鳴さえ上げることができなかった。先程までにしても子供達は朝日を受けてどこが楽しいか、白く清く笑っていたが、その笑いが消える前に緑の草の葉っぱの上には赤くて熱い血が荒く振り撤かれた。彼が見るひまもなしにそのように子供達の死骸はどんと音を出して底に倒れて行った。その死骸達の中にはエミールの姿も見えた。フロイオンは自分とでくわした真黒くて善良な瞳に怒りでぶるぶる震えている途中たちところに頓狂な声を上げた。

“ウアアアッ!”

あの時彼は神さまがいないことを自覚した。
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by hiiragi_rohan | 2007-08-08 14:53 | R.O.H.A.N小説

第3章1節因果の輪<3話>

痛い日差しが照りつける正午であった。野原には動物の死体の腐った臭いが蔓延し、空を飛んでいる鷹の燦爛たる羽は、午後の日差しを受けて、薄いもやに包まれたまま山の尾根に向かって、風のように飛んで行っていた。黄色の不毛な大地は白い雲が点々と打ち込まれた、青く澄んだ空と対をなして、めまぐるしくした。 土地上の生命体達はジャイアントの短い夏が気配を見せるごとに苦痛にもがいた。
フロイオン・アルコンが行方不明になって一週間が過ぎた。天気はますます夏に近づいていたので、寒さに強いジャイアントの戦士たちは暑さに疲れていきつつあった。一部は無駄なダークエルフのためにこういう仕事をしなければならないかという不平の話も出てきた。そのたびにクルレムとナトゥは荒っぽい一喝で不満を寝かしたが苦しいのは彼らも同じだった。 あたかも誰かがその跡を消したようにフロイオンに対する糸口は探せなかった。ナトゥは遠くの地平線の向こう側を眺めながら深いため息を吐いた。その時戦士の1人が近づいて彼に話した。

“ナトゥ様。首都にお客さんが訪ねてきました。”
“誰が?”

ナトゥの問いに戦士は迷いながら答えた。

“それが…身分を明らかにしなかったのです。見せたのは王家の指輪だけでした。”

部下の話に彼は眉間をしかめた。

“分かった。”

ナトゥはテントへ向かいながら、なぜか面倒なことに巻き込まれそうだという感じがした。その周囲に王家の指輪をはめている程高い身分の人はいなかった。しかもこういう頭が痛い時期に訪ねてきた人は、それが誰であっても歓迎してやれる気持ちではなかった。ナトゥがテントに入るや中には頭からつま先まで黒いマントをかぶった見慣れない異邦人が立っていた。そのためなのかテントの中はより一層黒く染まっていた。異邦人は人の気配を感じて身体を回してナトゥを眺めた。

“こんにちは,ナトゥ様.”

ナトゥはマントの中の異邦人を見てうめきを飲み込んだ。

“バタン殿…。”

バタンはマントの帽子の部分を脱ぎながらにっこり笑った。ナトゥの顔がより一層固まっていった。

“これはこれは…それほどうれしい顔ではありませんね。”
“ドラット王国の宰相がここまでどういうことですか。”

ナトゥは話を切りながら良くない気持ちを持ち出した。 彼は戦士、でずるがしこい政治家と向き合うのを極度に嫌いだった。その上バタンはジャイアント内でも認められる権力者であり、若くして宰相の地位まで上がり、今は国王の右腕であった。バタンは露骨に憂鬱な表情を見せるナトゥの話に瞬間驚いたようだったが、すぐ微笑を浮かべた。

“やはりうわさのとおりですね。それでは本論に早速入ります。”

バタンはそで中にぐるぐる巻きたくった羊皮紙の一つを取り出した。封印した朱肉の上には国王の刻印がつけられていた。ナトゥは自身の予想通り面倒なことにまきこまれることになったことを悟ってため息を吐いた。バタンは羊皮紙をテーブルの上にのせて話した。

“現在ジャイアントは苦しい状況に置かれています。 ダークエルフ側で使節団の死とフロイオン・アルコン卿の行方に対して追及をしているためでしょう。間違って意図しなかった戦争に発展することができる事柄です。あちら側では私たちが協約を破るために使節団を殺したと曲解することもできることですから。もしかしたら使節団を攻撃した群れが意図したこともそれかもしれません。それで国王は悩みの末にまずダークエルフの仕事に協力することにしました。私がここに来たものもあなたに国王の命令を伝えるためです。”

バタンは自身の挟まれている王家の指輪を抜いてナトゥに差し出した。

“ナトゥ様。レプ・トゥラバの名前で命じます。 今直ちにフロイオン・アルコン卿の行方を探してダークエルフに使節として行ってきて下さい。”
“単独行動をするという話ですか?”

ナトゥが眉毛を引き上げて浮かび上がった。

“はい。これらすべてのものは極秘に付しなければなりません。国王は戦士会の反対を押し切って単独でこのことを成立させようとされるから。”

ナトゥは低く悪口をいった。

“戦士が出ていって政治に関与しろというのですか? 身代わりで!”
“いいえ。 身代わりを選んだのだったら捨てても惜しくない人を選択したでしょう。 むしろあなたを選択したことは私の意志です。”
“どうして?”

バタンは初めて深いため息を吐いた。

“ナトゥ様は政治に関心がなくて、よく分からないだろうが、今首都エトンは戦士会の首長のノイデを中心にした国王派と私を中心にしたアカード派が対立しています。第二王子のアカードが言っていましたが、ヒューマンを攻撃しようとする国王の考えに反対してしらっしゃいます。 私は国王の右腕とうわさが立っていますが、それは国王が王子を牽制するために私を担保で捉えておいたものに過ぎません。”

ナトゥは初めて聞く話に驚きを隠すことができなかった。ジャイアント内にこういう葛藤が存在するとはただ一度も考えたことがなかった。バタンは多少苦々しい顔で話を繋いだ。

“国王は最初、嫡子のリオ殿下を失った時、鼓傷心が大きかったでしょう。ダークエルフと手を握ったのもその怒りをヒューマンに回すためです。 いくら臣下といってもひそかな感情で国事を定めることに同調することはできません。”“それではあなたはこの協約に反対するのですか?”

ナトゥの問いにバタンは首を横に振った。

“それはありません。今の状況ではダークエルフと手を握る必要があるからです。 ただしそれがヒューマンを討つためにではないということです。アカードの話はもう少し先の未来を見通しての啓示でしょう。私はその方のために私のあらゆる事をかけることにすでに決心した状態です。 あなたを選択したのも殿下を裏付けてくれるほどの能力があるのか試験してみようと思うことでしょう。もちろんあなたには選択の余地がありません。”

バタンは当たり前のような表情であきれる言葉を吐きだしていた。いくら宰相と言っても戦士を優待するジャイアント内でナトゥの名声は高かったし、一般戦士たちの間では尊敬の対象だった。 もし周囲に他の戦士でもあったなら、彼を侮辱した罪で刀を持ったとしても誰一人止める人はいなかった。ナトゥは柔弱な外見と違ったバタンの好機にむなしい笑いを作った。

“私をとても高く評価しているようですね。 あなたが試験する程私にはそのような価値がありません。”

線を引く彼の冷たい話にもバタンは相変らず毅然とした。

“こういう…ナトゥ様は私より自身に対してさらに知らずにおられたようです。 あなたならば富と権力を簡単に得ることができるはずなのに、そんなことにはまったく関心がおありにならないから……。”

ナトゥは中を浮かび上がってみるような語り口と分かりながらも分からないふりをするしらじらしいバタンの行動にますます気分が悪くなっていった。自身に向かった彼の試験はすでに始まったのだ。

“分かるならばこれ以上私に政治的な話はしないで下さい。 今回のことは国王の使いであるから敬うだろうがそれのみです。他の政治的な問題に対しては一切関与しません。 私は戦士であり、政治家ではありません。”

ナトゥの話にバタンはにっこり笑った。 その微笑には鋭さがはらんでいた。

“ナトゥ様。多分あなたが願おうが願うまいがこの勢力争いにいつかは巻き込まれることになるでしょう。 ノイデ様でさえそばに置きたい程あなたは誰でも欲を出す人物ですから。だからいつかは二つのうち一つを選択しなければなりません。私たちがダークエルフと手を握ることができないように…。”

ナトゥは彼の話中に毒があるという気がした。彼が外で話を吐きだした瞬間から彼の運命が動くように話の中に考えが束縛される気持ちだった。バタンはナトゥが人相をしかめたまま言葉なしに立っていて、マントの帽子をまたかぶりながら話した。

“行く前に一つ知らせます。私の情報通によればフロイオン・アルコン卿は国境を越えてハーフリングの国西部地域まで行ったんだそうです。ここからそんなに遠くないから十分に追いつくことができるでしょう。だがまだ誰かに追われている状況なので命が危険です。彼が死ねば貴方も大変だからなるべく早く出発して下さい。”
“分かりました。”

ナトゥが短く答えた。

“それでは、ナトゥ様。次に尋ねる時はその心に刃物が含まれていられるように願います。”

バタンは小さく笑ってみせた後テントを出て行った。ナトゥはテントの入口が開かれては閉じるまでに差し込んだ、短い日差しが眩かった。 あたかも初めから闇の中に閉じ込められていたように、彼の心に陰が落ちただった。

“君ならば、私に答を与えることができるだろうか。”

ナトゥはフロイオンを思い出させながら,使うように笑った。
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by hiiragi_rohan | 2007-07-24 21:30 | R.O.H.A.N小説

第3章1節因果の輪<2話>

しとしと雨が降る夜だった。空の月は黒い雲に遮られて姿を隠し、夜空に浮かんでいるのはただ闇だけだった。あたかも厚い毛皮に覆われたように世の中には静寂が漂った。もし誰かがその静まり返った中で刀物でも振り回したら、一瞬で耳を裂く悲鳴が溢れ出るようだった。
エドウィンとタスカーはローブを被ったまま雨に降られてドリアン牧場の村入口に立ち入った。村にはばらばらと落ちる雨音だけが一杯で、そのどこにも人の形跡を捜し出すことができなかったが、家の中では黄色い明りが流れ出ていた。二人は雨に濡れて重くなったローブとかばんの重さに手に余るように軸垂れた体でざわめいた旅館の前に立った。エドウィンが右手でローブをすっとたくし上げてタスカーを眺めた。彼の茶色の瞳には疲労が滲んでいた。

“今日はここで休んでから街ですか?”

タスカーは古くてみすぼらしい旅館に目を通しながら首をうなずいた.

“今は馬小屋ででも寝れそうだから。”

彼女も山を越えて来るためにくたびれていたので、すぐひもじい腹を満たした後、くたびれた身を横たえたかった。二人はローブの帽子を脱いで旅館の中に入って行った。旅館には雨宿りするために尋ねて来たお客さんたちによってごった返した。タスカーはエドウィンがハーフリングの主人と話をする間に周りを見回しながら空のテーブルに座った。一階の食堂には多くの種族が入り乱れ、周囲に気を遣わず、我を忘れて騒いでいた。一番内側に座っているハーフリング村の住民たちは牧畜商人たちとギターを弾いて歌を歌ったし、旅人たちは自分の冒険談を顔を赤くしたまま大きい声で長たらしく並べていた。一番目立つ集団は暗いすみに座って、殺伐な機運を振り撤いているハーフエルフだった。彼らは何が楽しいのか自分たちどうしくすくす笑ってきついビールを飲んでいた。タスカーはしばらく彼らに目を配らせた後、注文を受けるために近付いた可愛いハーフリングの少女に頭を巡らした。エドウィンは部屋の予約を終わらせて彼女の向かいの椅子に座ってローブを脱ぐところだった。

“熱いスープとパン2切れ、チーズを少し。飲む水もおくれ。ああ、そしてにんじんザラダも!”

エドウィンはにんじんという言葉に手が少々動いたが、タスカーはにっこり笑うだけだった。彼は到底自分の能力で彼女を適う才幹がないということを悟るとため息が出た。今はたとえ空回りする状況だがそれでも名目上、聖騎士である自分がこのような小さな女人の前で首を下げるしかないというのがなげかわしかった.

“ため息をつかないの! 大人の言うとおりにしていればそんすることはないというのが分からないの?”

タスカーのため息まじりで目をにらむとエドウィンは再び出そうとするため息をのんでしまった。あの時そばのテーブルで快活な男の声が聞こえた。彼らは牧畜商人のヒューマンたちだった。

“お前そのうわさ聞いたか?”

目が垂れていて、帽子を耳までかぶったケンが向こう側に座っているショーンに聞いた。ショーンは頬がうす赤く、あごひげがもじゃもじゃした男だった。

“何のうわさ?”

彼は別に関心がないというようにそっけなく返事した。

“ショーン、 驚かなくなよ。あのな、 グラト要塞が崩壊したと言うんだ!”

ケンが誇張した顔をしてショーンに期待に満ちた目つきを送ったが、彼はむしろ鼻であしらった。

“ケン、それは誰もがもう知っている事実だ。何ヶ月も前の事だ。私はまた何かすごいことを言うと思ったら…….”

ケンは自分を無視するショーンの言葉に気分を害したのか、テーブルをどかんと叩きながら大声で言った。

“それではこれは知っているか? 神さまが俺達R.O.H.A.N大陸のすべての種族を殺そうとしている! 一つも残さず!”

ケンの言葉に急ににぎやかした旅館が水を差したように静かになった。彼は自分があやまちを犯したということを悟って話をごまかした。

“いや、単にうわさなだけだから……。”

しかしもう食堂の中には不運な機運が漂っていた。まるで黒い霧があっという間に群がって来て視野を遮られるように、人々は目の前に突きつけられた真実に息苦しがった。エドウィンさえグラト要塞の話が出た時は身が硬直されてしまった。いまだに彼はあの時の惨状を忘れることができなかった。たぶん一生忘れることができないと思ってからはいたが、胸が抜けたまま神殿に首をぶら下げられて死んだビクターとモンスターに変わってしまった仲間たち、お互いに向けて定めた刃に命を落としていった兵士達の姿が鮮かに目にめりこんで彼の心臓を締め付けた。エドウィンはその苦しさにこっそり唇をかんだし、それを見たタスカーが彼の手を握ってくれて言った。

“つらい時はあなたがひとりではないということ考えるのよ。”
“タスカー…….”

エドウィンは元気なく笑ったように見えた。あの時食堂に落ちた静寂を壊して内側で歌を歌ったハーフリングの住民が搖れる目つきで言った。

“私もあのうわさを聞いた事がある。モンスターが私たちを攻撃することも神々のためだと……。”

彼の言葉に横でギターを弾いていたハーフリングが震える声で否定した。

“まさか……。それでは神官たちは何の話を我々に言っているんだろう。そう思わんか?”
“そうだ、そうだ。シルバ神は絶対に私たちを捨てる方ではない。”

彼と同調して向い側に座っているヒューマンの牧畜商人も力強く首をうなずいた。

“そう。神々は私たち捨てる方ではないでしょう!”

彼らはお互いにうわさが偽りというのを確認して、どうしても心細い思いから脱出しようと試みた。しかし彼らの対話を聞いていたハーフエルフの一団の一人がおこがましいというように皮肉った。

“馬鹿野郎ども。神はとっくに俺たちを捨ててるんだ。そうでなければモンスターが人を攻撃するのにどうしてじっとしている?”

すると食堂の中にいたすべての人々が驚愕した表情で声の主人公に頭を巡らした。男は闇の中に座っていたためにうっすら笑っているように見えたが、たちどころに上体を現すと同時に、濁った茶色の瞳が人々の視野に入って来た。彼は金色と茶色の中途半端な髪の毛を長く垂らしたまま、 胸と手足には甲冑をつけていた。非常に生意気ながらも鋭い雰囲気の男だったが、 人々は彼をピル傭兵団のカエール・ダートンだとつぶやいた。カエールを認識した数人は浅いうなりを出して視線を回避した。

“もしかしたら初めから神はいなかったのかもしれないな。そうではないか,聖騎士?”

急にカエールがエドウィンに視線を投げながら問いかけた。エドウィンは彼の厚かましい言いぐさに眉をひそめた。

“翼を付けたような盾と十字架…そのブローチは明らかに聖騎士だけがつけることができると知っているが?”

カエールの言葉にエドウィンは自分のブローチを見下ろした。

“どうだ? 神さまがいると思うか?”

彼は最後まで返事を聞かなくてはならないと言うように、鋭い視線をおさめなかった。エドウィンは自分を睨むカエールの目を回避せずに言った。

“いるから猜疑心も生まれるのであろう。”

カエールは彼の返事にあまり満足することができないといった表情だった。

“う~ん。定石みたいな返事だね。”

エドウィンは男の皮肉る言いぐさにちょっと頭に来て聞き返した。

“それではあなたは?”
“俺?”

カエールが自分を示しながら笑った。

“そうだな、いるとも思わんし、いなくてもただいないってだけといったところか?”

彼は自分で言っことが面白いのか、涙まで流しながらくすくす笑い、席をはたいて起きた。 周囲に座っていたハプエルプ傭兵団の群れも共に立ち上がった。

“聖騎士らしくないな、お前の心には神さまに対する不信が一杯だね。今度会う事があったらどんなに変わっているか期待している。”

カエールは終わりまで彼をあざ笑って傭兵団の群れと一緒に離層の宿所に上がった。エドウィンは聖騎士でありながら自信ありげに神が存在すると言えなかったことに苦笑が出た。彼も自分がグラト要塞の仕事以後で神に対する猜疑心を抱いているということが分かっていた。そしてその猜疑心のあげく、ある真実が彼の心を重くするというのも。

“その話どこで聞いたの?”

急にそばの人々の対話を静かに聞いていたタスカーが席でむっくり起きて男の胸ぐらを引っつかんだ。

“何、何の言葉です?”

男は彼女の荒い行動に荒ててどもった。

“さっきラウケ神団がどうこうって言ってたでしょう!”

彼女が普段らしくなく、興奮して叫んだ.

“私はそのまま、ラウケ神団がそんなうわさをまき散らしたと言っただけですよ。何が間違っていましたか?”
“そのラウケ神団、どこで会ったの?”

タスカーは興奮して胸ぐらをもっと強く握りしめた。

“ごほんごほん。これちょっと置いて話してくださいよ! 人を殺すつもりですか!”

ケンは手助けを荒々しく拒んでkかっと怒るように叫んだ。

“シルバの神殿の先で会ったよ! なんだってんだ?”
“いつ?”
“二日前に! ホントに……。”

ケンは頭に来て地べたに拳でごつんと叩いて席を離れた。しかしタスカーははその場に固まったように立って何か夢中になって考えていた。エドウィンは理由が分からなかったが、彼女の深刻な表情に声を掛けることができなかった。そうして彼女は決心がついたようにエドウィンに背を向けた。


“エドウィン, 申し訳ないがリマには一人で行きなさい。”
“何事ですか?”

彼の問いに彼女はためらうように控え目に言った。

“私の息子を捜しに行かなければなりません。”
“息子?”

エドウィンが驚いて問い返した。

“実は今度の旅行もラウケ神団に巻き込まれて家を出てしまった息子を尋ねるためなの。神々が私たちを捨てたという話に絶望して家を飛び出したのよ。”

タスカーは悲しい瞳をした。

“名前は何ですか?”

エドウィンが彼女を慰めるために話題を変えた。

“エミール……。”
“それでは私もともにエミールを尋ねに行きます。どうせそちらも見て回るつもりだったから。”

エドウィンの言葉にタスカーの目が一瞬大きくなってからしっとりと染み付いた。

“あなた、意外にやさしい子なのね”

エドウィンは急に自分の頭を撫でる彼女の行動に荒てて顔を赤くした。

“照れくさがることはないわ。私はあなたより年上だから。”

タスカーは普段のように皮肉に笑いながら言った。エドウィンはまるで子供を扱うような彼女の行動にため息が出たが, しばらくはこのままが良いと考えた。彼女が自分の息子を捜す前まで自分もこの道に沿って行ってみるならばいつかは真実が分かることができると言う気がした。
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by hiiragi_rohan | 2007-07-19 18:21 | R.O.H.A.N小説