<   2007年 06月 ( 6 )   > この月の画像一覧

第1章2節 神を失った世界<4話>

突然の奇襲を受けてライは瞬間慌てたがまもなく冷静を取り戻した。背後から右肩と腕にぶらさがった者が大きい図体を持った者でも力が強い者でもないということを悟ることができたからだ。むしろ小さい体格に鍛練されていない肉体を持った女であった。相手は必死のあがきをつくしてライにしがみついていた。女の目的はライが右手を振り回すことができないようにするということだった。ライが目標の命を奪えないように。しかし長く留めておくことはできなかった。体を捻り、相手の手中が緩くなった合間を利用して、ライは右手首を回して刃を背後に差し出した。特別に力を集中する必要もない。鋭い刃が肉を掘り下げる、慣れた感触が感じられた。 女の手が痛いほどライの腕を握りしめた。そしてゆっくりその手から力が抜けていった。ライは腕を振り回して、女を振り払って標的の人物を見た。遅かった。ライは舌を打った。 標的は寝ついていなかったようだった。彼はすでに起きてライに向かってスタッフを差し出し、防御体制を取っていた。スタッフを握っていないもう一方の手には強烈な魔法の気勢が集まっていた。とても短い刹那の時間、ライは標的に向かって駆け寄ろうとする姿勢を取って横に体を飛ばした。肩の上を、背筋が寒くなるほどの魔法の気勢がかすめて過ぎ去ることが感じられた。相手は魔術師だ。とても身軽だと考えた。 だが今ならば彼を殺す機会がつかめるはずだ。いくら魔術師としても魔法を放つためには時間の余裕が必要だから。ライは即座に体を起こそうとしたがそうできなかった。避けるために体を飛ばした時足首を捻ったようだった。短いうめき声とともにやっと立ち上がった時、すでに標的の姿は消えてなかった。

“鋭敏なやつらだね。 ダークエルフ貴族の旦那連中だからと甘く見ていた。”

右側の胸を押さえたままデートがつぶやいた。 デートの標的はダークエルフ貴族のロビー・デル・リコンジョだった. 彼はロビーからの攻撃に負傷して彼女を逃がした。望んだ結果ではなかったがロビーの命を絶ったのはライであった。そしてライはロビーの妨害によって自身の標的だったフロイオン・アルコンを逃がした。シェリノンがライに向かって冷たい視線を投げた。暗殺者達で成り立った組織シャドウ・ウォーカーを導いているシェリノンは若い女性だったがその年齢と性別をしばしば忘れるようにさせるほど組織員達に恐ろしい存在であった。ライはわれ知らず視線を落とし込んだ。ライの標的は逃げてしまったし結局捕まえることができなかった。結果的に自身の標的を殺すことができないのはライ一人であった。シェリノンは周囲を見回し、手を顔に向け、こちらに来いと合図した。 シェリノンに従って4名のシャドウ・ウォーカーの暗殺者達は死体で埋もれたダークエルフキャンプを離れて、す早く闇の中に消えていった。
R.O.H.A.N大陸北側に位置した島に居住しているダン種族は一般的な区分とは違って独立した種族ではなかった。遠い昔ヒューマン王族のクラウト・デル・ラゴスは実兄を暗殺して自身が王座に座って、3代ヒューマン国王になった。放蕩な兄を殺して正しい政治をするという彼の過激な方法は国民の呼応をそれほど得られなかった。結局クラウトは兄の妻であったカロニアと彼女の息子セリオが起こした軍隊によって追放された。その時クラウトの友人で支持者であった予言者ヘルラックはカロニアの軍隊を避けて、自身に従った者達を導いてヒューマンの土地を離れた。ヘルラックに従った群れはバラン島に定着し、今のダン種族の先祖になった。ヒューマンと離れて独立された都市を成して暮らしながら長年の時間が経った後、ドラゴンが消滅して各種族たちはお互いにと交流を始めた。死んだだろうと考えられた遠い昔の反乱分子らが生き残り、都市を成し遂げて後代まで受け継がれてきたとのことを知ることになったヒューマン達は驚いた。長い間の熟考の末にヒューマンらは断固たる決定を下した。ダン種族をヒューマンの一部と認定しないということだった。他の種族たちに比べて少数に過ぎないダンはこれからどこにもよることができなくなった。彼らは自ら生き残る方法を捜し出さなければならなかった。ダン種族が最も恐れることはR.O.H.A.N大陸内に一つの大きい勢力が生じるということだった。力が集中すれば自分たちと同じ少数国家は立派な抵抗さえできず、吸収されてしまうことも想像できるからだ。R.O.H.A.N大陸に混沌の気勢がまかれてすべての種族がお互いを警戒している今、ダン種族に視線を転じる余裕がある国家はなかった。そのためにダークエルフとジャイアントが秘密裏に協力を共謀しているという情報が入ってきた以上、二つの種族が手を握るのは防がなければならなかった。二つの種族間の秘密協約に対する情報は想像しないところで得ることができた。とにかくこれは大変重要な情報であった。ジャイアントの領地内でダークエルフ使節団を全滅させて、一次的に二つの種族の会談を防いで、二次的に二つの種族の間に不和を持ってこようとすることが今回の奇襲作戦の目的だった。しかし使節団の中の1人が生きて逃げた。
追跡しなければならなかった。足が土地につく度に足首に痛みが走り、うずいた。 だが弱音を吐く時ではなかった。追跡して彼の命を絶たなければならなかった。ライは唇をかんだ。事実は先に仕事を終わらせた同僚が逃げたその者を捕まえられるとの弱い考えをしていた。主要ターゲットのフロイオン・アルコンの命を絶てとの任務はシェリノンが自身を試験そうとするということだった。ダン種族の暗殺者の一員に受け入れてもかまわないのか調べてみる試験で、これ以上異邦人扱いを受けられないようになる機会。それを逃がしたことは自身の優柔不断な態度のためだった。デートがライの肩を軽くたたいた。負傷による痛みをこらえているのはやはり同じで、顔をしかめていた。デートはライに向かって無理に笑ってみせた。
大丈夫。そのように泣き顔作る必要なくてよ。
曇りの夜空の月光の中でもデートの唇がひそかに動くさまを読むことができた。ライは力なくまっすぐに微笑を浮かべたように見えた。薄い雲を通じて照らしていた弱い月の光が徐々に消えていった。雲は風に押されて動いていた。五暗殺者の影は消えていく月の光と共に完全に闇の中に埋もれてしまった。彼らは足音さえも出さずに早く走っていた。
[PR]
by hiiragi_rohan | 2007-06-26 12:09 | R.O.H.A.N小説

R.O.H.A.Nにおける結婚

え~と、週末限定で狩りな日々の†柊†です。

韓国にはテストサーバーなるものが一般ユーザーにも
利用可能なのですが、そのテストサーバーでとうとう結婚式場っぽいものが
アップロードされました。
喜びの殿堂’と ‘誓約の殿堂’だそうです。
今後イベントで使うとのことですが、結婚自体実装予定?
まだどうするのかとか、結婚すると何があるのかそういったものはないそうです。
以前の月額時代にあったうわさで、結婚すると相手のスキルがいくつか使えるように
なるとか、一緒にPTすると経験値がおいしいとか・・・。
実際のR.O.H.A.Nはどういう方向になるのか今から非常に楽しみです。
f0122608_19271999.jpg

左が洋風、
右が韓国風
でしょうか?
日本なら日本の寺院が
できるのかも?
[PR]
by hiiragi_rohan | 2007-06-25 19:31 | 雑記

第1章2節 神を失った世界<3話>

荷物を移動させる人夫達の手が夕焼けで赤く染まっていきつつあった。 度重なった旅で手慣れた人夫達は今夜のためのキャンプを着々完成していきつつあった。 今回の旅で夜営は今日で最後だ。明日は恐らくジャイアント達の旅館で寝ることができるだろう。 ダークエルフの首都モントからジャイアントの首都エトンまで何度も往復で旅をしたがフロイオン・アルコンはまったく夜営を楽しむことはできなかった。 優雅で貴族的な生活を重要だと考えるダークエルフ達の中で庶民ではなく、国王の息子として育ったためだった。上手な人夫達の手によって、テントが立てられるのを見ながらフロイオンはうつむいた。

“天気が良くて幸いだね。”

ロビーがほほ笑みながら話かけた。 フロイオンは頭だけうなずいて、同調しながらも席を避けようとしたが同行のダークエルフ女性ロビーは全く意に介さず話を繋いだ。

“前回訪問時は冬なので苦しかったでしょう。ジャイアント達はこのような寒さの中でどのように暮らすのか検討もつきません。。”
“ですが訪問を終え、去る時にもかなり楽しく見えました。”

疲れのためなのか声が少し鋭かった。フロイオンは自ら悟っては内心舌を打った。 ロビーはそれほど気を遣わないように愉快に笑った。中年に入り込む年齢なのにロビーの笑い声は少女のように軽快でねじけたところがなく明るかった。

“ああ、もちろん。私は旅が好きで。旅行中にあったことならば苦痛だったことも後ほどには楽しい記憶になるでしょう。”

執事がテントの準備ができたことを知らせた。2人のダークエルフはお互いに向かって、形式的に頭を下げては各自自身のテントに向かって歩みを移した。
ロビーは伝統ある貴族だったが貧しいために大きい財産を集めた老いた貴族と政略結婚をしなければならなかった。若くして夫が死んで出るや彼女は王室議会代表の父親にお願いして、外交官資格を勝ち取った。 夫が集めた財産を勝手に浪費して通うとか、一族の政治的指向に従わない恩を仇で返した女とか、外に出歩くことだけ楽しむあばずれとか。彼女に対する悪いうわさは絶えなかった。だが少なくともロビーは外交業務に関する限り優れた存在であった。前国王のロッシュ・リオの嫡子で、現国王のカノス・リオとは異母兄弟という曖昧な位置にあるフロイオンに外交任務を薦めたのがまさにロビーであった。 ひそひそと話すのが好きな貴族たちはロビナが現国王の異母兄弟を利用して権力に近寄ろうとする考えだとしゃべったが、フロイオンはロビナに感謝していた。 ロビーを通じて、外交任務を引き受けることになり、外交を通じて自身の存在価値を証明することができなかったとすれば、命を自ら経っていたかもしれない。 国王カノス・リオは野心一杯な者だった。彼は同じ父の血を受け継いだ唯一の人物で、自分の位置に少しでも脅威になるかも知れない者などはいつでも殺してしまうことができる者だった。ジャイアント国家のドラットとの今回の交渉は彼自身の存在価値を証明すること以上に重要な任務であった。しかし意外に進展はのろかった。こちらの提案に簡単に乗ってくると考えたジャイアント国王レプ・トラバは意外に愼重だったしのびやかだった。一年もずるずる流れているレプ・トラバの態度にこちらが先に体が熱くなる状況だった。
色々な考えに沈んでいる間にぼんやり寝ついたようだった。夢を見ていながら、それが夢というものを知っている夢と現実の曖昧な中間線で遠い昔の仕事を見た。
厚いカーテンで区分された窓では月の光一筋漏れて入らなかった。枕に頭を埋めて息を殺していた。ドア根元のちょうつがいが出す小さい声が鋭く聞こえてきた。 開いたドアの隙間から細くて長い光の線が部屋を横切って入ってきた。幼いフロイオンは息さえ正しくできないまま震えた。部屋を横切って近づく者は威嚇と生とをぐるぐる巻いていた。
背筋が寒くなった記憶に驚いて目を開くや周辺の空気から乖離感が感じられた。月の光とキャンプ中央に立てられた焚き火の光によりできた影がキャンプを通じて映っていた。 影だけでも分かることができた。一行でない誰かが自身のキャンプに近づいているということを。腰を低くして足音を殺しながら静かに。その手に持たせた凶器は恐らく自分の命を狙う刃であるはず。フロイオン・アルコン個人に怨恨を持ったダークエルフならば、ジャイアント国家に近いここで問題を起こすわけがない。いつでもジャイアント巡察隊や兵士がキャンプに到着しても変でない地域であるからだ。 それならばやはりダークエルフとジャイアントの間の外交を不満に思う輩であろう。 一番最初に気になるとすればならばやはりエルフ国家ヴィラ・マレア。だが自称平和主義者の小心なエルフ達が暗殺をするとはやはり考えられなかった。それならジャイアント達が警戒するヒューマンであろうか? フロイオンは動かずに幼い時体験し、そして少し前に夢で見たように息を殺したまま待った。 しかし今の彼は幼い時のように静かに命の威嚇を受け入れるつもりはなかった。テントの入口がこすれる音が聞こえて影が入った。入口が開かれて月の光が映って入ってくる少しの間にフロイオンは相手のシルエットをはっきり見ることができた。暗殺者は女であった。予想できないことだった。しかし驚く暇もなしでフロイオンの注意は他に傾いた。暗殺者が持った武器は今まで見たことがない奇妙な形態をした物だった。暗殺者の右手をかばうような曲線で始まり、鋭い頂点に向かって伸びた奇妙な刃が月の光を受けて冷たく青く光っていた。フロイオンは枕元に置いたスタッフに向かって用心深く手を伸ばした。 やっと指先でスタッフを引き寄せて捉えた瞬間不幸にも指輪とスタッフがぶつかり、とても小さい金属音を出してしまった。暗殺者が肩を緊張させながら、攻撃態勢を取ったのとフロイオンがシーツを蹴飛ばして起きたのはほとんど同時であった。しかし次の動作への反応は暗殺者の方が早かった。自身の心臓を狙って差し出すように迫る刃に緊張する瞬間、テントの入口側から大きな叫びの声とともに誰かが暗殺者に向かって駆け寄った。
[PR]
by hiiragi_rohan | 2007-06-22 16:33 | R.O.H.A.N小説

第1章2節 神を失った世界<2話>

ハーフリングは自分たちの居住地から遠く離れるのをそんなに好まない。そのような理由で彼らの姿を他の国家で見ることは珍しい。聖騎士団でそのような話を聞いたことがあったし、エドウィンもやはりハーフリング国家のリマに到着する前にハーフリングの姿を見られるとは考えてみたことさえなかった。だが今目の前にはハーフリングがいる。まだヒューマンの領土デル・ラゴス国家内なのに。 そしてそのハーフリング女性は今エドウィンを厳しい目でにらんでいた。

“ニンジンを残さずに全部食べまましょう。 若くてピチピチした青年がなんで選り好みする食べ物が多いの?”

その上頑固な声で小言までならべている。エドウィンは顔をしかめた。

“タスカーさん。私が何を食べようが、食べまいがあなたとは関係が…”
“話を聞ききなさいエドウィン。私を助けてくれた人に悪い話をするかい? さあ早く!”

エドウィンが何の話をしてもハーフリングは頑固一徹だった。 可愛い顔に似合わない厳しい表情を維持しているだけ。 エドウィンはため息をついた。
アイノルン聖騎士団はグラト要塞壊滅の真実に対して、沈黙を守ることをエドウィンに勧めた。神の姿を見たとか、神々が人々を全て殺そうとするとか、主神オンが消滅したとか、聖騎士達がモンスターに急変したとかという話は、そうでなくても不安な時代に震えている住民たちの心を混乱させうるということが理由であった。 しかし聖騎士団を最もうろたえさせた話はデカン種族に対する報告であった。すでに50余年前に全て消滅したと報じられたドラゴンが神々の力によって消され、彼らの子孫が残って新しい種族になって、神々を憎悪しているとは。 信仰心を基盤に立てられた聖騎士団としては絶対に信じたくない話だっただろう。しかもドラゴンは最高神のオンが直接創造した完璧な生命体とされていたのだ。 結局グラト要塞の壊滅の件はモンスターの大部隊が襲撃して、聖騎士達は壮烈に戦って戦死したという形で脚色されて外部に知られた。そしてエドウィンは聖騎士団と神殿側に何度もくり返し呼び出されて、彼が見たことが幻覚や想像から作り出したことであったのを認めろとの勧誘の仮面をかぶった強要を受けた。エドウィンは自身が体験したすべてのことが偽りとは絶対認定したくなかった。彼の記憶にはすべてのことが生き生きと残っていた。要塞の神殿の鐘塔に絡みついていたビクターの死体。その体に開けられていた大きな穴。自らの意志を失った騎士達の姿。神の姿をした、憎しみでぎっしり埋まった何者か。 ビクターの体に開いた穴を通じて、救援の腕を伸ばしてきた、奇怪な容貌のデカン種族のキッシュ。 そしてエルフのトリアン・ファベルの大きな紫瞳。どうしてその全ての出来事をなかったことにするのか。人心を混乱させる情報を持ったまま、とうとうそのことが真実だと主張したエドウィンは、聖騎士団内でも頭痛の種になった。結局エドウィンには他国との国境付近の動向を調査しろとの任務が与えられた。言葉上は任務だが、事実上は騎士団から追い出されるといった処分だった。誰も信じない真実を心の中に入れたまま、エドウィンはアイノルンを離れなければならなかった。初めて彼が向かったところはハーフリングの王国のリマ方面だった。複雑な頭を整理するためには今回のことと関連がある所は全て避けたかった。南側のエルフ国家ヴィラ・マレアも、北側のバラン島にあるデカン種族の根拠地も、そしてグラト要塞も避けたかった。首都アインホルンから遠ざかるほど治安はめちゃくちゃであったし人自体も少なかった。その上にまだ国全域に散らばっている人々は皆騎士団の保護を受けることができるアイノルンに向かって、故郷を離れているという実情があった。デル・ラゴスの領地内にあるセルカ天体観測所付近の村に到着した時、エドウィンは小さい騒動とぶつかった。混乱した時期の国家全域で毎日のように数回おきることだった。 一人で旅行中の女性に難癖をつけてくる酔っ払い達によって起きる騒動。フードを頭までしっかり目深にかぶった小さな背の女性は冷たい語り口で酔っ払い達を相手にしていた。 その酔っ払い達の中の1人がデル・ラゴスの国家マークを付けた鎧をつけた軍人でなかったとすれば、そしてフードを目深にかぶった女性が低い声でつぶやいた悪口が聞いたことがない異種族の言語ではなかったとすればエドウィンは席から立たなかっただろう。しかし女旅行客は異種族であることが明らかだったし、彼女に難癖をつけている者の中にはデル・ラゴスの軍人がまぎれていた。軍人として、騎士として、ヒューマン種族に対する自負心の強い青年としてこらえられないことだった。エドウィンは聖騎士団のマークを表わして酔っ払い達を叱り飛ばして追い出した。感謝の挨拶をしながらフードを取り払った小さい背丈の女性は想像通り、異種族のハーフリングであった。自身の名前をタスカーと明らかにしたハーフリング女性はヒューマンのエドウィンからは、十代後半になったかどうかと思える程おさなく見えた。彼女が感謝の気持ちで食事を提供する席で、エドウィンとタスカーはお互いの目的地が同じだということを知ることになった。タスカーは本来ハーフリング国家の所有であったセルカ天体観測所に立ち寄って、また本国のリマに帰るところでだったし、明らかな目的と任務を受けることが出来ないエドウィンは言葉だけで聞いてきた他の異種族達の土地を全て見物したくなり、ひとまずヒューマンと親密な関係を維持しているハーフリングの国へ向かった中だった。そんな成り行きで旅行を始めてから三日目。エドウィンはタスカーがただ可愛い容貌を持った異種族のお嬢さんだけではないということを悟り始めたところだった。

“ニンジンをよけずに全て食べろといったでしょ。みんな体に良いから食べろというんじゃないの? しかもこの頃、同時に四方で戦闘が広がる渦中にこういう良い野菜を食べることができる機会は珍しいなのよ?”
“…こんな小言屋だとは…”

低い声でつぶやいたエドウィンの不平は明らかにタスカーにも聞こえるように発せられた。タスカーは少しの間眉毛を引き上げたように見えたが、すぐまた微笑を浮かべた。

“年上の話を良く聞きなさい。私にはあなたと同じ年頃年齢の子が二人もいるんですから。大人が相手を思って言う言葉なんだから聞くのが良いの。”

エドウィンよりもずっと幼く見える容貌に小さい背丈を持ったハーフリングの女性。三日間共に旅行しがら、エドウィンが気に入らない行動をするごとに彼女は何度も繰り返して、自分がはるかに年上を強調しながら大声を張り上げた。その言葉が真実であるかどうかの有無は分からないが、すでに気難しくてバカ正直なおばあさんと旅行をする感じだった。

“頑固な老人のようだよ…”

エドウィンの皮肉は今回もタスカーの耳に入ったようだった。エドウィンはにらむタスカーの視線を避けて、あたふたニンジンを飲み込んだ。
[PR]
by hiiragi_rohan | 2007-06-18 17:15 | R.O.H.A.N小説

スピーディーホーク逆輸入

先日ロハサーバーにて励ましのお言葉を
いただきました。ありがとうございます。
さて、日本ではアイテム課金制に移行し、
スピーディーホークなる攻撃速度上昇ペットが
すでにアイテムモールで閲覧できますが…

韓国ではイベントアイテムとして配布されるようです。
宝箱からチケットが出るようになり、そのチケットを
期間中に多く集めた順に各サーバー30名限定で
もらえるそうです。
[PR]
by hiiragi_rohan | 2007-06-18 16:26 | 雑記

第1章2節 神を失った世界<1話>

大陸の南側に位置したエルフ達の大地では冬が短かい。 海から吹いてくる風がすでに冷たくないほどに気温が上がっていた。 老人たちがマレアの手助けだと呼ぶ良い春天気であった。
トリアン・ファベルは小さい花束を抱いて神殿へ向かっていた。黒いリボンで縛られた花束は亡くなった者のためのものだった。 毎月一度、トリアンはマレアの神殿に花束やろうそくを灯して亡くなった母のための祈りを捧げた。それは30年以上継続されてきた習慣だった。幼い時には父のふところに抱かれて、神殿へ向かったことを歳月が経ってもずっと繰り返している。事実トリアンの記憶に母の姿は薄かった。寿命がヒューマンの二倍にもなるエルフだが、そのような彼女にも母の死は記憶に正しく残っていないほどであった。その時のトリアンはとても幼い赤ん坊だったのだ。35年前のR.O.H.A.N暦258年。エルフ達は建国直後からずっと彼らの首都であったレゲンをモンスターらの手に奪われた。 建築家の父はその時エルフ達の第2都市であるヴェーナで仕事をしていた。休暇を得ることになったという彼の伝言を受けて母は二人の子供と共に喜びながら待っていただろう。 そんなに平和な毎日は何の予告もなしで破られてしまった。いつの間にかレゲンを囲んだモンスターらは夜の闇に乗じて都市を襲撃し、多くのエルフ達を虐殺した。トリアンの母は他の人々と共に第2都市ヴェーナに向かって逃げた。 やっと一人で歩けるようになった長男の手を握って、まだ幼い赤ん坊のトリアンを抱いたまま。 トリアンがマレアの神殿で仕事をした見習司祭ゼニスに抱かれてヴェーナに到着して、父とまた会うことができたことは奇跡に近いことだった。 ゼニスの話によればトリアンは喉に斧がささったまま死んでいた母の懐の中で泣いていたし、彼女の兄はどこにも見つけられなかったといった。 薄い記憶の中の母と、顔さえ思い出さない兄の犠牲を踏んでトリアンは今生きているのだ。

“全てのものの父オンと、全てのエルフの師匠マレアの加護…なのか。”

神殿で基礎教育を受ける時から習慣的に唱えるようにと習った経典をつぶやいたトゥリアンは眉間をしかめた。 何ヶ月前の仕事が浮び上がったのだ。 最初の疑惑を事実か確認しようとする大神官リマ・トルシルの要請を受けて、キッシュという異種族と共にヒューマンの大地を訪問したこと。その時トリアンが見て感じたことは、全ての者の父・主神オンはすでに存在しなくて、種族達を守護する五神は大地に存在するすべての被造物を席巻して滅ぼそうとしているという恐ろしい事実だった。
報告を受けたリマ・トルシルは目の前で最後の希望を奪われた人のように暗い顔になっていた。 その後彼女はただ一度も笑う姿を見せなかった。明らかに神官としても予言者としても、リマにはあまりにも大変な真実であっただろう。色々考える間に、歩みはいつのまにか神殿に至っていた。まだ目の前に残っている記憶と重なるようにリマ・トルシルの青白くて暗い顔が視野に入ってきた。

“…久しぶりにお目にかかります。 大神官様。”
“久しぶりですね。 トリアン。”

大神官は頭を軽く動かして挨拶を受けた。彼女の視線じゃ神殿の祭壇へ向かっていた。祭壇の上には黒いリボンで縛られた何輪かの花が置かれていた。 トリアンの手に持たせたものより、より一層素朴な花束だった。

“なんだか… その事が思い出されて。”

トリアンの視線はやはり祭壇上の花束に留まっているのを察知して、リマ・トルシルは弁解するように話した。トリアンは目を伏せて頭を下げた。 デカン族のキッシュとともにトリアンがヒューマン王国デル・ラゴスに行ったように、同じ任務を受けたエルフが二組以上はいた。リマ・トルシルの要請を受けて、一つはハーフリング国家のリマに、他の一つはダークエルフ王国イグニスの国境付近に派遣されていた。彼らもトリアンのように神の姿をした何かを目撃して、モンスターらがR.O.H.A.N大陸の一部を占領するのを見届けた。リマに派遣されたエルフは無事に戻ったがイグニスに送られたエルフはモンスターらの攻撃を受けて、大きい負傷したままかろうじて帰還した。 そして幾日かすら持ちこたえられないまま亡くなった。リマ・トルシルはその時命を失った人のために花束を準備したのだった。トリアンは祭壇の上に花束を置いて母のための祈りを捧げた。そして彼女のように任務を引き受けて命を失ったエルフのためにも短い祈祷を付け加えた。 祈祷を終えて立ち上がるやリマ・トルシルが疲れた表情で祭壇を眺めている姿が見えた。リマがゆっくり口を開いた。

“習慣というのは恐ろしいことですね。あなたも私もすでに知っているけれど。 私たちの祈祷を聞き入れる方は誰もいないことを…”

同じ考えていたトリアンは重く首を縦に振った。 リマ・トルシルは三人のエルフを派遣して、調査したR.O.H.A.N大陸の状況をエルフ女王・シルラ・マヨル・レゲノンに報告した。秘密裏に会って大神官の報告を聞いたシルラ・マヨルはしばらくの間沈黙を守ってこれらすべてのことを不問にせよとの命令を下した。リマ・トルシルは女王の不問令を下した理由を理解することができた。エルフ達の国家は女神に対する愛と尊敬を土台にして立てられた国。 神に対する信頼が破られれば国は混乱する。 国家東方のダークエルフ、その北方のジャイアント達が不穏な動きを見せているこの時期に、国内に不安を植え付けることは避けることが正しかった。だがいつまで隠すことができるだろうか。神々が大陸の住民たちを捨てたのではないかといううわさはすでに密かに回っている。ある地域では狂信徒らが神の意志により自分たちの手で大陸住民を虐殺しているという話も聞こえてきていた。R.O.H.A.N大陸が被風に包まれるのはどう見ても時間の問題であった。

“大神官様。もう私は帰るようにします。”

いきなり聞こえてきた声にリマ・トルシルの精神は現実に戻った。トリアンが頭を下げて挨拶をしていた。リマが首を縦に振るやトリアンは神殿の門の外に歩いていった。その後ろ姿を見ながら、エルフ大神官は低い声でつぶやいた。

“帰りなさい。 まだ帰る場所があるうちに…”
[PR]
by hiiragi_rohan | 2007-06-04 16:37 | R.O.H.A.N小説