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第4章1節闇の中の真実<2話>

“いくらそのような話を聞いても、私はデル・ラゴスの聖騎士です。私は私の魂にかけてすべてのヒューマンを守る者・ロハに対する忠誠を誓いました。エルフ・トリアン・ファベル、デカン・キッシュ。あなた方の助けには深く感謝申し上げます。だが私はまだあなた方の話を信じることはできないのです。全てのものの父・オンが消えたとか、私たちの神々が私たちを亡き者にするとかという話は聞かないことにします。”

彼には信じるのが難しい真実であろう。彼にとっては、信心という自身の人生を導いていった最も大きい羅針盤だった縁だから… いつか自身が神に背信をしたことを知ったら、彼はどのように変わるだろうか? 神に救援を求めるだろうか? でなければ神に挑戦しようとするだろうか? どんな結果が出るのか分からないがそれがいつになろうが私が彼とともにしているという感じがする。珍しいな。ただ一度の出会いであったのに…

“キッシュ!”

キッシュを呼ぶ声に向かって背を向けた。

“何を考えて何度も呼んだのに聞こえないの?”“ごめん、ドゥリアン、特別なことではない。”

ドゥリアンはキッシュのそばに座りながら話した。

“フーン…私が当ててみようか? 数ヶ月前に行ってきた旅行に対して考えることじゃないの?”

キッシュ豪快な笑いを作った。

“君に何かを隠すのが不可能なことをしばらく忘れてたよ。”“私たちは二年を一緒に送った、ただ友人とは違うじゃない。 兄弟に等しいのにその程度は簡単に知ることが出来るだろう。 その上その旅行以後であなたが考えに没頭している姿がしばしば見うけられてそういう風に察したのよ。 どんなことなの?”

ドゥリアンの心配な表情をしばらく見たキッシュは背を向けて、丘の下のデカン族が軍事訓練をするのを眺めた。両者にしばらく沈黙が流れ、その沈黙を破ったことはキッシュが暗に投げた質問だった。

“真に神が願うのは何だろうか?”

ドゥリアンは意外という表情を浮かべながら、キッシュを眺めた。

“ロハン大陸のすべての生命体が自分たちに恐怖を感じることを願うのか? でなければ皆なくして新しい世の中を始めようとするのか?”

短いため息をつきながらドゥリアンが話した。

“そうね…彼らが何を考えているかは知る術がなくて。 だがいかなる理由としても私は…いや私たちは彼らを許してはいけない。貴方も感じない? 私たちの血の中に流れているアルメネスの悲しみと怒りを。”“そうだ、感じている。何の理由でも私はやはり神々を許せない。 そして彼らを皆亡き者にしたい。だがどのようにしなければならないだろう? どのようにすれば神は存在しない世の中を作ることができるんだろう? ドゥリアン、あなたは分からないでしょう。 神に敵対するということがどういうものか。私は見てきた。神に操縦されて、自身の同僚を殺す姿を…自身の意志などは何の意味もなかった。神の操り人形になって、刃物を振り回して同僚の血をかぶるだけだ。それでも何の感情も感じられないだろう。怒りや悲しみなどはその者達には存在しなかった。”“キッシュ。 私たちはあの下位神たちが作り出した種族らと違い、私たちは主神が作り出した生命体だ。たとえ神々と戦争をしたドラゴン達に比較すれば限りなく小さい存在らだが、彼らのように簡単に神に操縦されはしない。私たちがもう少し力を蓄えれば、神のいない世界になった大陸を支配できる。”“いくら私たちが彼らより優れるといっても神々を防ぐためには彼らの助けが必要だという気がする。 そして事実私たちが彼らより飛び切り優れたというのもも疑問になって。ダン族との戦争で私たちが完ぺきに勝ったのか? とんでもない… ”

ドゥリアンの目で火花が散って彼の声が割れた。

“なんてことを!一体何の話をしたいのだ? そのような考えを持ってこれからデカン族に…”“ドゥリアンさん! キッシュさん!”

ドゥリアンとキッシュが後戻りをしてみるや小さい少年が彼らに向かって飛んできていた。

“老いた虎の使いだね。”

キッシュが独り言でつぶやいた。使いはドゥリアンとキッシュの前まで飛んできて吐息をつきながら、大長老が二人を探しているという話をした。

“何かご用だろうか?”“分かりません。単に大長老様が国王殿下も待っておられると急いで迎えろとおっしゃいました。”

キッシュは国王も待っているという言葉に驚いたがドゥリアンは察していたというような表情で使いに答えた。

“先に立つようにしろ。”

使いが先頭に立って歩き始め、キッシュとドゥリアンは彼の後に従ってレブデカへ向かった。丘を降りて行き、少し歩くやドラゴン・ヘアースタイルの彫刻像が視野に入ってきた。常にこの彫刻像を眺めながら、首都の中に入ってくる時ごとにキッシュは母であるアルメネスが自身に何かをささやいているような感じがした。耳を傾ければ彼女の話が聞こえるだろうか? もしかしたらそれは話ではなく、苦痛でぎっしり埋まった絶叫なのかも分からない。

“あなたに失望した。”

キッシュを眺めた。ドゥリアンは前方に顔を向けたままキッシュにだけ聞こえるような声で話していた。

“あなたならば…私が選出されないといっても安心することができると考えた。 むしろ私よりあなたがさらに適格だと考えた。だが今は違う。”“何の話をしている?”

ドゥリアンは口を閉じたまま何も言わなかった。アルメネスに到着し、ドゥリアンとキッシュは使いについて城中に入っていた。 青いゆえドット中世の中が目の前に広げられていたし国王フェルディナンド・ドン・エンドゥリアゴを中で置いて、両側で大長老と長老らが立っていた。キッシュが老いた虎と呼ぶカルバラ大長老が国王の左側に立っていて比較的若いグループに入る青いひげのハエム長老が国王の右の方に立っていた。数十年にわたったダンとの戦争で休戦という終わりを持ってきたハエムを全ての者は彼を示して‘台風の目’と呼んだ。彼は白い顔に細くて長い青いひげをぶら下げて温和な表情で静かに席を守っていただけだが、どういうわけかむやみに無視することはできない気勢が周囲をぐるぐる回っていた。その気勢の源泉は強い力でなく彼の三寸舌であった。普段は言葉が少ないが、彼が話をすれば皆が彼の意見に屈服しなければならない気がするという。 そのような彼の威力が最も発揮されたのはダン族との平和交渉であった。悲鳴の戦場でデカン族の幼い少年アナンが死んだ時、デカン族とダン族は戦争の残忍さを悟って無意味な殺傷を終わらせたかった。だがどのようにすれば終わることができるのか分からなかった。とても永らく持続した戦争なので果たして簡単に平和交渉が成り立つのか予測できなかった。国王と長老らは何日の間昼夜を分けないで悩んだ。三日間、昼夜が去った後のある日の夜、ある若い青年が会議場に入ってきて、自身がタン族の軍長に会えるようにしてくれるならば平和交渉を成功させると話した。まさに青いひげのハエムだった。そこにいた皆が自身の耳を疑った。長老らはハエムに無謀なこととし、反対意見を掲げた。だが彼は一歩も動かず、自身の意見が受け入れられるのを待った。国王はその姿を見て長老らの深刻な反対にもかかわらず、彼の意を受け入れることに決心した。朝日が寝ついていた大地を起こす早朝にデカン族とダン族が眺める中、ハエムはダン族の陣地に単独で歩いて入った。 彼はダン族の兵士たちに囲まれて、軍長レアムモネドゥがいるというテントに移された。 誰も口を開かなかった。ひたすら沈黙の中、二種族の間で時間が流れているだけだった。時間の流れが無感覚になった頃、ハエムが軍長レアムモネドゥと共にテントから出た。 レアムモネドゥがデカン族に向かって、平和交渉を受け入れると大きい声で叫び、そのようにして二つの種族間の平和交渉が成り立った。ハエムがレアムモネドゥをどのように説得したのかに対して分かる人は誰もいない。ただしハエムの話を聞いてレアムモネドゥが涙を流したといううわさはキッシュも聞いて知っていた。 キッシュが成人になって、王室を出入りすることになりながら、何度か彼を見たことがあったがだまされる分からない、偉人とだけ感じていた。

“早く来るように。”

フェルディナンド・ドン・エンドゥリアゴが威厳ある声で2人を迎えた。 ドゥリアンとキッシュ腰下げて挨拶した後片方ひざまずいて低姿勢になった。

“ドゥリアン…そしてキッシュ。君らに対する話は長老らを通じて聞いたよ。皆が同じ言葉で君らが私たちのデカン族中で最も優れた戦士と私に言ったよ。”

“過剰称賛でいらっしゃいます、陛下。”

ドゥリアンとキッシュが頭を下げながら話した。

“私が国王になってすでに50年が経っている。自ら最善を尽くして駆け抜けてきただろう。どの種族にも遅れをとらないように。だが今は私も老いた。いくら鋭い剣でも歳月が流れれば刃が鈍るように、澄んだ水も溜まっていればいつかは腐ってしまうだろう。 もうデカン族には新しい王が必要だと私は感じているよ”

キッシュは驚いて頭を上げた。 ペルディナント・ドン・エンドゥリアゴが王位から退くというのか?
アルメネスからデカン族が誕生した直後、彼らはちりぢりに散って見慣れない環境に適応して行こうと努力するだけだった。その時強いカリスマと優れたリーダーシップを持ったある若者が散っているテカン族たちを集めて今の首都レブデカでアルメネスに対して話した。自身を含んで、デカン族はドラゴンと神々との戦争で最後の生存者でデカン族の母胎のドラゴン、アルメネスを決して忘れてはいけないと。彼女が自身の残った生命力を使って、デカン族を誕生させた理由は、死んでいったドラゴンたちの復讐を果たすためにとし、一日も早く神々に対抗できるように強力にならなければ他のロハン大陸の種族らのように神々によって、終末を迎えることになるだろうと話した。その若者の名前はアガードであった。アガードの指揮の下デカン族は結束し始め、自らを保護する準備をし始めた。アルメネス国家の体制が整えられた時、皆当然アガードが王にならなければと考えた。王になった後自らをフェルディナンド・ドン・エンドリアゴと命名した。彼はデカン族の生きている歴史で英雄だった。
キッシュたちも幼かった時から国王を尊敬して英雄と考えてきた。 そのような彼が自ら王位から退くというのは、誰が聞いても信じるのが難しい話であった。

“私は王の席を出して血筋に譲り渡すつもりなどはない。今後も永遠にデカン族の王は世襲でなく、長老らと王によって選出されるだろう。私は何年か前こういう私の考えを長老らにすでに伝えたし、彼らに真に王になるほどの若い戦士らを推薦してくれと要請しただろう。それで君ら二人は今、私の前に来ている。”

国王は話を終わらせて大長老を眺めた。大長老は国王に向かって頭を下げた後、キッシュとドゥリアンに説明し始めた。

“私たちは国王陛下の要請により君らを含んだすべてのデカン族の若者たちに対して審査をしてきたし最終候補で君たち二人を王位候補者に定めました。これから一月間二人は色々な試験を経て、その結果により次の王に選出されるでしょう。 正々堂々と善意の競争をするよう願います。”

大長老の話が終わってキッシュとドゥリアンは国王に挨拶をして王室を出た。キッシュとドゥリアンを捕まえて何か話をしようとしたがドゥリアンは速い速度に一人で離れてしまった。混乱とと苦々しい気持ちで、キッシュはゆっくり出口に向かって歩いていった。 突然誰か自身のすそを引っ張るのを感じて振り返った。青い皮膚に真っ赤な瞳を持った幼い少女が自身のすそをさっと捉えていた。キッシュ何の話もなく何かご用なのかという表情で幼い少女を眺めた。 少女はさっと笑うと彼にささやいた。

“青いひげのハエム様が西の城門で待つと言われました。”
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by hiiragi_rohan | 2008-01-30 19:05 | R.O.H.A.N小説

第4章1節闇の中の真実<1話>

真っ白なマントをかぶった五個の影が円を描きながら立っていてその中には綱で縛られた一人の男がひざまずいたまま恐れに捕われて震えていた。 彼はもがきながら、そこから抜け出そうとしたが周囲にある影たちが手で彼の肩を押していて無駄なことだった。 彼の正面に立っている者は男の頭に左手をのせて右手にはワンドを握ったまま空を示しながら何かを叫んでいた。そしてその声は近所の木の後に隠れて、すべての状況を見守っているトリアンにもはっきり聞こえた。

“私たちの神マレアよ。この罪人が犯した罪の代価を払って私たちが彼の容赦を求めますので、あなたの手助けで私たちを救って下さい!”

生まれて初めて聞いてみる祈祷文が終わり、苦痛でうねった悲鳴が森に響きわたった。 綱で縛られていた男は地面に倒れ、その周囲に円を描きながら立っていた真っ白なマントの者たちには返り血が飛んで真っ赤な花模様が乱れ描かれた。 腰を下ろし、男が死んだのを確認した後、皆マントの頭の部分を脱いだ。彼らの顔を見たトリアンは息をできなかった。彼らは明らかにトリアンと同じエルフだった。本当にそのうわさが事実だったということなのか。
巷に飛び交う狂信徒たちに対する噂を聞いた時、トリアンは信じなかった。うわさというのはいつも膨らむものだということが彼女の考えだった。その上いくら世の中が紛らわしくても他の種族でもないエルフが同じ住民たちを虐殺する蛮行を犯すはずがないと信じていたので、女王・マヨルが彼女を含む3人の魔術師にうわさに対して調査しろとの命令を下した時、トリアンは格別なことはないだろうと考えた。トリアンと3人の魔術師は区域を分け、女神の泉とその付近の村は彼女が担当することになった。モンスターが増えることにより村々は要塞化したり、退去して廃墟と化したりと、住民たちが不安に思う姿は簡単に見られたが、うわさの狂信徒は眼に入らなかった。少し前までもトリアンは軽く旅行する気分だった。だが狂気じみたエルフらが神への救援を理由に、このようなエルフを殺す光景を目撃した瞬間、彼女はこれが思ったより深刻なことを実感した。

“もう一つの罪が浄化された。この世のすべての罪が浄化されれば以前のように女神もまた私たちの前に姿を表わされるだろう。その時私たちは救援されることになるであろう。”

祈祷文を唱えた男が独り言でつぶやくように話すやそばに立っていたエルフ達は全面的に同意するというように首を縦に振った。しばらく本来の席に立って祈りを捧げた五人の狂信徒らはまたマントを使って顔を隠して足取りを移した。トリアンはいちはやくワンドを握りしめて呪文を唱えた。緑色光を浮かべた風がトリアンのワンドから流れ出て、狂信徒達を取り囲んだ。狂信徒達は慌てて逃げようとしたが、周囲にある木幹が自分たちの足首を捉えていることが分かった。

“何奴!”

トリアンは万一に備えて、魔法で狂信徒達が腰につけていたワンドを全て地に落とした後、彼らに近付いて物静かな声で話した。

“私の名前はトリアン・ファベルです。女王陛下の命令であなた方の罪を問うためにきました。”

“陛下が?私たちが道を誤り何か罪を犯したということなのか? 私たちは女神・マレアのために罪で染まった大陸を浄化しているだけなのに!”

浅い緑色の瞳の狂信徒が叫んだ。トリアンは彼がちょっと前に死んだエルフの頭に手をのせておかしな祈祷文を唱えたまさにその人だと分かった。

“あなた方は兄弟にも等しい、あなたの種族を殺しました。 女神・マレアが本当にそれを望んでいると思いますか?”

いくら切なく呼んでももう女神は答えないのに、あなた方の祈祷が何の意味合いがあるだろうか。トリアンは心の中で尋ねた。しかしそれに対する返事はすでに自ら知っていた。

“彼は盗みを働いた罪人だった。自身が犯した罪に対する代価を払うのは当然ではないか?”

盗みを働いた代価が死ということでしょうか? トリアンはあきれた。トリアンのそのような反応に関係なしに、親分と見える狂信徒は自身の信頼に対して熱弁を吐いた。

“今この土地に充満している悪い気勢と混乱とで、私たちが苦痛を味わう理由をあなたは知っているのか?それは私たちの罪が浄化されずに、大陸を汚染させたためだ。 神々は私たちが大陸を汚染させたことに怒られてモンスターらと病で私たちを罰されるのだ。 無知な者よ、これが真実だ!”

“女王陛下や大神官様の中のどなたもそのような話をされたことがないのにあなた方は何の根拠で神が私たちを罰しようとするというのですか?”

“ラウケ神団について知っているか? 彼らはヒューマン族の予言者のヘルラックの著書を基盤に形成された宗教集団だが、経典に書かれた予言を大陸のすべての種族に伝えるために飛び交っているだろう。 そして私たちは先月彼らに会って、この世の真実を聞いたのだ。私たちは世の中を救援するために真実が教えた通り行うというだけ。 それ以上もその以下でもない。”

ヒューマン族の予言者ヘルラック? 世の中がこのようになるとすでに知っていた人もいるのか? もしかしたら大神官様と女王陛下は何の効果もない仕事をしておられたのでないか? 果たして神の真実を隠すことだけが最善の方策なのか? トリアンは自身の心の中で終わりなくわき上がる混乱にめまいがした。握っていたワンドが手先から落ちようとするのを悟ってトリアンは自身を叱責しながら、心を引き締めた。

“エルフ歴史上最高の予言者と賞賛を受けているリマ・トルシル大神官様がそのような予言をなさったことがありません。それだけでなく歴史上どのエルフの神官も同じことです。ところで聞いてみたこともないヒューマン族予言者の話に夢中になるなんて…はエルフとして恥かしいことです。”

トリアンは叱る声で話した。しばらく何の話もなく浅い緑色瞳はトリアンを眺めるとささやくような音声で話した。

“涙の洞窟…予言者テルピンを忘れたのか?”
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by hiiragi_rohan | 2008-01-30 18:00 | R.O.H.A.N小説

第3章1節因果の輪<6話>

エドウィンは銀で作られた水筒に水を入れながら、湖に映った日差しの輝くのを眺めた。 トリアン牧場の村の旅館に泊まった日から雨が降ったり、雨が降らなくても暗雲が常に空を覆っていたため、日差しが懐かしかった。その上旅館でラウケ神団の話を聞いた後はタスカーの表情が暗く、より一層そうであった。 タスカーはエドウィンに以前のように明るい表情で接しようと努力したが、エドウィンはそんな彼女から不安に思う姿を簡単に感じることができた。

“久しぶりに天気が良いね、そうでしょう?”

エドウィンのそばに座り、湖に手を浸しながらタスカーが話した。

“はい、そうですね。”

エドウィンは水筒のふたをかけて、腰のベルトに固定させながら立ち上がった。

“この頃は天気が悪くてわからなかったけど、明るい空の下で見ると、いよいよ私たちがハーフリングの土地に入ってきたという実感ができますね。何というか…生気に満ちた木々がハーフリングの地だという気がしますので。”“そうですか? ラムベックに行けば本当にハーフリングらしいということをいっぱい感じることになるでしょう。 そここそハーフリングらしい活気があふれる所ですね。 アインホルンとは比較にもならないほどですよ。その地の神官達も…”

普段のように快活に話をしたタスカーが突然止まった。湖に浸し、ひらひらさせていた手も同じように止まってしまった。 エドウィンは頭を下げて言葉なしに水面を眺めているタスカーを眺めた。神官に対する話をしようとしたがラウケ神団に入っているという息子が思い出されたもようだった。ふと自身の母もタスカーのようにこの瞬間自身に対して心配しているかもという考えがよぎった。 聖騎士になってグラト要塞頃に行かなければならないという便りを家族に伝えた時、父は息子が立派な聖騎士になる良い機会と励ましてくれたが、母は何の言葉も発しなかった。 ただ目じりが静かな心配の色を落とすだけ。その翌日から、母は毎朝ごとに神殿に、ヒューマンの神・ロハに祈祷をした。しかし神は母の祈祷を聞くことができなかったということなのか? いや、本当にその時‘それ’は神・ロハだったのか?エドウィンはまた再び心の中で混乱のうずができるのを感じた。誰よりも心深くから神を崇めなければならない聖騎士が神に対して少なくとも疑いを持つことになったこと自体、自ら耐えるのが難しいほどの紛らわしさだった。その時東方で巨大な光が光った。タスカーとエドウィンが同時に光に向かって背を向け、約束していたかのように光に向かって走り始めた。 光の発源地で遠くないところの木の後に隠れて、二人は目の前に広がった状況を見て閉口した。

“まさか…”

そこには幼い子供たちの死体が散在していたし、魔法の気勢でぎっしり埋まった光に押し出されまいと、ありったけの力をふりしぼっている人々が見えた。 彼らは皆黒い服を着て両手には刃が光っていた。エドウィンはちょっと見で、彼らがヒューマン族のように見えたが、何か見慣れないという感じがした。

“ダンという種族だね。”

タスカーがエドウィンにささやくように話した。

“ダン?”

エドウィンの質問にタスカーは驚いた表情になった。

“ダン族をしらないってこと? 彼らはあなたと同じ先祖を持ってるのよ!?”

エドウィンはタスカーがダンだとした人々を順に目を通しながら、タスカーに尋ねた。

“なんのことでしょうか?彼らはヒューマンのように見えるが全く違います。 ダン族? 私は全く聞いてみたことがありません。”“詳しいことは後ほど説明します。 まず私たちはあの光中で絶えず魔法を吐き出している誰かから救わなければならないようですね。”

タスカーは静かに、しかし速い歩みで光で作られた大きな球に向かって走っていった。 エドウィンもタスカーの後に従って、球に近付いた。その時初めてエドウィンとタスカーは遠くからも見えるほど強烈だった光が単純な光ではなく、魔法の気勢というものが分かった。光がぎっしり埋まった魔法の気勢の中にはあるダークエルフが立っていた。

‘こんな途方もない魔法の気勢がただ一人のダークエルフから出てきたことということか!’

魔法を使用しているダークエルフを見たのは初めてだったが、エドウィンは幼い時に、そして最近にも魔法を使っているエルフは見たことがあった。 幼い時に父のお共で行ったスド・アイノルンの王宮でエルフを度々見ることができた。そして最近ではグラト要塞でトリアン・ファベルが自分を助ける時、魔法を使用するのを見た。しかし今この魔法の気勢は何か非正常的であるほど強力だった。あたかも自身のすべての生命力を魔法に変えてしまおうとするのではないかという気がするほどであった。エドウィンはここで命をかけた戦いが繰り広げられているということは分かったが、自身が誰を助けるべきかも分からなかった。周囲を見回すと光のカーテンの向こう側で、最も近くにいたのは二人のダン族だった。光が視野を遮って、はっきりとは分からなかったが、1人は短い髪の男であり、右胸に包帯を巻いていた。また他の1人はそのままたらした、長い黒髪の女であった。彼女は防御姿勢を取ったままゆっくりダークエルフに近付いていた。その時初めてエドウィンは彼女がダークエルフを殺そうとしているのが分かった。エドウィンは剣の柄を握り、少しずつ光中にあるダークエルフに近付いた。しかし光が周囲にある全てのものを拒否するように強力に押し出していたので、近くに行くことはダークエルフを殺そうとするダン族やエドウィン自身にも容易ではないことだった。エドウィンは深呼吸をして、光のカーテンを体で押しながら、その中に入った。光が体にぶつかりながら、弱い抵抗感を感じながらも、目を閉じたままエドウィンはゆっくり歩いていった。体が全て光中に入ったと思った瞬間目を開くやダークエルフの後ろ姿と、手にかかった鋭い刃で彼を刺そうとする長い髪のダン族女性が目に映った。

“止まれ!”

エドウィンは走りながら握っていた剣を抜いた。 ダークエルフの首に突き刺さろうとしている刃が、目的と遂げようとする瞬間エドウィンの剣が防いだ。

“キーン!”

鋭い金属のぶつかる音が聞こえるのと同時に光が消えた。光が消えて皆の目に見えるのはダークエルフの首を間に置いて十字に重なった二つの刃だった。

“これは一体何事なの!?”

タスカーがさまよっているダークエルフの体を捕まえながら、ダン族に向かって叫んだ。

“お前らが関係するところではない。ダークエルフを渡して離れろ。 命は助けるから”

少し離れたところで薄氷のように冷たくて鋭い声が聞こえた。聞く人にとって背筋が寒くなるような声であった。エドウィンは刃をあわせたまま声の主人公を見つめた。 きれいにねじあげた髪が二つの長いカンザシに固定されていたが、乱れた姿で、長い間急即に移動して来たようだった。 だが乱れた姿にもかかわらず傲慢で高慢に見える表情が彼女がここにあるダン族のリーダーということを物語った。 エドウィンはエドウィンは刀を取っていた手に力を集中してぶつかった刃をはね出した。刃を押し返された長い髪の女は一歩後じさった。タスカーはすばやくダークエルフを後に引き出した。

“それはできないだろう。異種族といっても命は誰にでも大切なもの。君たちが思いのままにこの者を殺すのを放っておくことはできない。君たちは誰だ? なぜこの者を殺そうとするのか?”

エドウィンの質問に戻るのは沈黙だけだった。

“これらは専門暗殺者です。自分たちの正体を明らかにするはずがありません。”

タスカーは気を失ったダークエルフを起こそうとしながら、エドウィンにささやくように話した。

“知らなくて良い。どうせ死ぬ命なのに分かってどうするという?”

リーダーは手に持った刃でエドウィンを示しながら、より一層冷たくなった声で答えた。

“もう一度機会を与える。ダークエルフを置いて行くか、でなければ彼とともに死を迎えるか?”“私は聖騎士エドウィン・バルストンだ。 正しくないことを目前に置いて行くのはおくびょう者らでもすることだ。 飛びかかれ!”“全部殺せ!”

リーダーの鋭い声が樹の中に広がった。
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by hiiragi_rohan | 2008-01-30 16:07 | R.O.H.A.N小説